前号メルマガの予告?通り、映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」を観てきました!
史実に基づいた題材、主演のソン・ガンホさんはじめとする名優たちの演技、迫力ある
カーチェイスなど、娯楽映画の要素をふんだんにとりいれた、なるほど、納得の名作でした。

私は、街並み、道路、車、服装など、一昔前の韓国の雰囲気を存分に味わいました。
そしてアジョシ(おじさん)たちの唾を飛ばしてお互いを皮肉りながら喋るような熱い
やりとりは最大のユーモアですね。グッときます。ああ、韓国って、面白い国だなぁ、
こういうところ、好きだなぁ、と思いながら見ていました。ああいうやり取りが脚本にでき、
そしてそれをありありと演じられる俳優さんたちは素晴らしいですね。

영화 [택시운전사]를 봤는데 한국을 대표하는 명작이라고 할 수 있을 것 같습니다.

(ヨンファ テクシウンジョンサルr パンヌンデ ハンググr テピョハヌン ミョンジャギラゴ ハr ス イッスr コッ カッ スmニダ
/映画「タクシー運転手」を観ましたが、韓国を代表する名作だと言えると思います)

1980年の光州事件、朝鮮戦争も同じ民族(兄弟同士)で戦う悲惨な出来事でしたが、
光州事件も本来なら国や国民を守るべき軍が、市民のデモを暴力で制圧したという
いたたまれない事件です。

私が初めて韓国を訪れた90年代半ばはまだ少し大学でデモが行われていて、
「徴兵されていたとき、任務として大学デモの制圧に行かされて、知っている先輩と
対峙した」という同世代の男の子の話を聞きました。

光州事件からまだ38年しかたっていません。犠牲になった人の家族も、やむを得ず
制圧した側に回った人々も、まだ生きているでしょう。まだ国としても個人としても記憶が
生々しいのに、よくぞ、このような映画が生まれたなぁ、といろんな意味で感心しました。

例えば光州事件の9年後に中国では天安門事件が起きているのですが、
同じような映画が中国で生まれるかというと、今のところちょっと考えられない気がします。
韓国は政権や体制が目まぐるしく変わるので、できることでもあるのでしょう。

それにしても、韓国は憎らしいほどドラマチックですね。
苦悩の末にこそ、人間は良いものを作り出す、という例をまたひとつ、見た気がします。

고생 끝에 낙이 온다.
(コセン クッテ ナギ オンダ/苦労の末に幸せがやってくる)

で片付けるのは少し軽すぎるでしょうか。

最後にこの点に触れたいと思います。この映画の翻訳は、神田外語大学で
韓国語字幕翻訳を学ぶ有志の学生たちが手がけ、字幕翻訳家の本田恵子さんが
監修をされています。もう何年も前から、「翻訳するのに意義ある作品を取り上げる」
ことをモットーに行っているのだとか。素晴らしいことですね。

翻訳作業に参加された方々は、韓国について深く知り、学んだ韓国語を活かし、
この上ない学びを得ていることでしょう。これからも私たちにいろんな作品を
届けてほしいと思います。



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