先日、神保町の韓国専門ブックカフェ「CHEKCCORI」にて、
翻訳書『無礼な人にNOと言う44のレッスン』刊行記念イベントを行いました。
本に囲まれた落ち着いた空間の中、温かい視線を投げかけてくださる
皆さんの前で、翻訳の裏話、原書との比較、これまで考えてきたことなどを
率直に語ることができました。
場を与えてくれたチェッコリさん、白水社さん、参加者の皆さんに感謝申し上げます。

【幡野のTwitter
】で毎日1回を目安に、書籍の中から印象的な
フレーズをツイートしています。
イベントの様子の写真もアップしていますので、
Twitterが見られる方は是非ご覧になってください。

イベントの中で、「キーワードとなった韓国語」に触れました。
日本語に訳すのが難しいんだけれど、書籍全体を貫くきわめて重要な単語たち。
5つピックアップし、解説をしました。その中の一つが、

「갑질」(カpチr)

日本語では「パワハラ」と訳すのが一般的ですが、直訳すると
「甲のふるまい」というような意味になります。

갑(カp/甲)は、契約書でいう甲乙関係の甲。
業務を依頼する側のことなので、強い立場、主導権を握る方、
と解釈されることが多く、ここでも強者的な意味を持ちます。
そして、질は、「良くない行動」を表すことばです。
従って、立場を利用し傍若無人に振る舞うこと…… 「パワハラ」を指します。

(ちなみに、白水社の担当者さんが、甲乙は必ずしも強弱関係を
表すことではない、あくまでも協力関係の関係性の性質のことだ、
とおっしゃっていましたが、とてもうなずくお話でした。)

日本でここ何年か「パワハラ」が社会的イシューとなっているように、
韓国でも「갑질」は、大きな社会的イシューとなっています。

書籍の中に「上司が傍若無人だったら」というパートがあるのですが、
ここでの上司は、著者が会社員として大企業の下請け業務を
していたときの取引先の相手です。
その取引先の人から、こんなことを言われます。

「머리가 좀 나쁘신 것 같아요.」
(モリガ チョm ナップシン ゴッ カタヨ/ちょっと頭が悪いようですね)

驚くべき一言ですが、その他にも理不尽な扱いがあり、
疲弊していたところ、同僚からこんなふうに言われます。

「대기업에 다니는 사람들은 ‘을’을 대하는 것이 직업이라
나름대로 그런 식의 조련을 해야 한다.」

(テギオベ タニヌン サラmドゥルン ウルr テハヌン ゴシ チゴビラ
ナルmデロ クロン シゲ チョリョヌr ヘヤハンダ
/大企業に勤める人たちは下請けに対して強く出るのが仕事だから、
こちらはそれなりの我慢をしないといけない)
(※書籍で採用した訳)

なんて悲しいんでしょう。その後も著者は辛い日々を送りましたが、
そんな中、とある方の講演会に行き、聞いた言葉に癒され、少しずつ
気の持ちようを変えることにしました。その具体的な言葉はとても
心に残るので、昨日のイベントで韓国語と日本語とを読み比べて披露しました。
是非、書籍を読んでいただきたいと思います。




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