訳書の出版から一ヶ月が経ちました。いろんな方からご感想を頂戴しますが、
「(無礼な言葉、失礼な言葉に)我慢してきたことが多かったんだな」、
「(差別的なことに)気付かず過ごしてきたんだな」というお声が多いです。

そうなんですよね。私もそれに気づきながら翻訳しました。
刊行記念イベントがとても心温まるひとときになったので、ブログに振り返りを書きましたが(こちら
)、
翻訳するにあたり、不感になっていたことを呼び覚まされるのは、なかなかエネルギーが要りました。

それから、振り帰りの中にも書きましたが、本書は、著者の地方出身というコンプレックスを理解するとしないとではかなり読み方が変わってきます。

著者は地元の国立大学に進学するのですが、コンプレックスを抱き続けます。
私たち日本人からすると、なぜそこまで?と感じると思うので、
韓国の「ソウル至上主義」や地方差別がどのようなものかを、私の見聞きした話などを中心にお伝えしたのですが、その中で、私がいまだにショックを
押さえきれない話があります。

韓国はブラックジョークが多いのですが、大学における
「ソウル至上主義」が、韓国実在する牛乳メーカーに例えられ、このように語られます。

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子供が生まれる、
「この子は天才だ!아인슈타인우유(アインシュタイン牛乳)を飲ませよう」
「天才とはいかなそうだ、ソウル大学かな。→서울우유(ソウル牛乳)」
「ソウル大学は難しそうだ、せめて延世大学に→연세우유(延世牛乳)」
「延世大学も難しそうだ、これは地方大学に行くしかない。→저지방우유(低脂肪牛乳)」
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お分かりでしょうか。

지방에는 기름의 뜻도 있지만 수도에 대한 지방이라는 뜻도 있습니다.
(チバンエヌン キルメ トゥット イッチマン スドエ テハン チバンイラヌン トゥット イッスmニダ
/’チバン’には脂肪の意味もありますが、首都に対する地方という意味もあります)

身もふたもない!と思ってしまいますが、これは私が実際、韓国の知り合いから聞いた話です。
こういった事情が根底にある社会的な事象を翻訳するということは、
とても辛く感じられる部分でもあり、かなりエネルギーが要りました。
でも、より韓国を理解することができました。

『無礼な人にNOと言う44のレッスン』
をお手に取ってくださった方も、
これからお手に取ってくださる方も、そんな著者のコンプレックスを
是非感じ取った上で読んでみてください。また違う景色が広がるでしょう。




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