4月6日付けの朝日新聞に、興味深い記事が載っていました。
「特派員メモ」というコーナーの、「懐かしくない人」というコラム。
北京在住の記者さんのコラムです。冒頭を抜粋させていただきます。

「昔口ずさんだメロディーがどこからか流れてきて、学生時代をふと思い出す。こんなとき、
日本語には’懐かしい’という便利な言葉があるが、中国語ではぴったりあてはまる
表現がない」

これを読み、「へえ~、中国語’も’なんだ」と思いました。なぜかというと、韓国語には、
日本語の「懐かしい」にぴったりの言葉がないような気がしていたからです。

「懐かしい」で韓日辞書を引くと、「그립다(クリプタ)」がまず出てきます。
これは、「恋しい」という意味で、

「그리운 고향」 (クリウン コヒャン/懐かしい故郷)
「그리운 어린시절」 (クリウン オリンシジョル/懐かしい幼少時代)

というように、「あの日に帰りたい、by ユーミン」というような、
切なく恋しい思いが込められます。

「なんだ、あるじゃん」とお思いでしょうか。
いや、「그립다(恋しい)」に置き換えられない「懐かしい」があると思うのです。
冒頭で紹介したように、「学生時代をふと思い出す」場合、
これが苦い思い出ばかりの学生時代だったら?ものすごく大変だったのだけれど、
そんな時代が今となっては「懐かしい」という場合、
「그립다(恋しい)」じゃ、ダメなんです!(別に怒らなくったって……)

苦心した末、私はそんなとき、こう言うようにしています。
そう、遠い目をしながら……(←ポイント!)。

「그 때 생각 많이 나요.」
 (クッテ センガン マーニ ナヨ/そのときのことが、とても思い出されます)

私たちが「あの頃が懐かしいなぁ」と思うときは、
必ずしも「恋しい」「帰りたい」思い出ばかりじゃないですよね。
苦労して、大変な思いをしたからこそ、その時代が今を作っている……。
そんな皆さんの「懐かしい」に乾杯!






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