日本初となる、ミュージカルを題材とした韓国語学習本が発売され、先日、
その出版記念コンサートに足を運んで参りました。

さすがミュージカルだけに、出版記念パーティーでなく、「コンサート」になって
しまうのですね!(当日の様子→著者日下氏のブログ


その書籍とは、『ミュージカル「パルレ」を歌って日常韓国語を学ぼう』
(日下隆博著、佐野良一企画監修)です。

私もソウルの大学路でこのミュージカルを観ましたが、著者の日下氏から
楽曲すべてが入った学習本の準備をしている……と内々に聞いていた私は、
劇場でOSTを買わずにこの書籍の出版を待ちました。

今回出版記念コンサートに足を運び、そして改めて書籍でこのミュージカルの
楽曲を味わうと、韓国人で大人気を博し、そして学習本を出してしまうまで
佐野、日下両氏が「완전히 빠졌다(完全にはまった)」理由が分かります。

早速、「All About 韓国語」に、ミュージカルと学習本について簡単に紹介した
記事を書いたので是非ご覧ください。 →「ミュージカルで韓国語! 体で覚える、マネしてわかる


そのAll Aboutでもご紹介していますが、16の楽曲の中で、「ああ~、ソウルらしい曲だなぁ」と私が感じたのは、やや演歌調の「책 속에 길이
있네(本の中に道がある)」でした。

この歌は主人公ナヨンが働く書店の店長が歌う歌。怒りっぽく、金払いは悪い。
気分で人を解雇したり、とにかく経営者としては救いようのないくらい傍若無人な
キャラクターとして描かれています。

観客の誰もがナヨンや、周囲の同僚たちの嘆きに寄り添い、同情し、店長を
「悪者!」と捉えるはずなのですが、この曲を聞いたら、私はこの店長にも同情してしまいました。歌詞の一部をご紹介しましょう。

아부지(※) 서울 와서
(アブジ ソウr ワソ/父さんソウルにやって来て)
※本来は「아버지(アボジ)」ですが、曲の中では「아부지(アブジ)」と、若干‘なまった’発音がなされています

청계천에서 날품 팔며 지내다
(チョンゲチョンエソ ナrプm パrミョ チネダ/チョンゲチョン(清渓川)で日雇い仕事で暮らし)

배우고 말겠다는 생각에 책방에 취직했다
(ペウゴ マrゲッタヌン センガゲ チェッパンエ チュィジッケッタ/勉強してやるぞと 本屋に就職した)

私はこの歌詞を聞いた瞬間、韓国の急激な高度成長期のことに思いを馳せました。このころのソウルを知るには、申京淑氏の『離れ部屋』(集英社、韓国語の原書は、『외딴방
』)を読んでみることをお勧めします。

歌詞に出てくる清渓川は、今でこそ美しい観光名所ですが、以前は日雇い労働者のたむろする雑多な地域だったのです。……、という話を書くと、ミュージカルに対し暗いイメ
ージを持ってしまうかもしれませんが、暗鬱な気分になることはほとんどありません。

恵まれない境遇にいながらも、励まし合い、明るく強く生きる庶民の物語です!
ミュージカルは言わずもがな、「ドラマ」と「音楽」が一緒になったものなので、
ドラマ単体、音楽単体よりも、スッと韓国語が体に染み込んできますね。

しかも、「パルレ」は、韓国の庶民が主人公なので、セリフも歌詞もよく使う日常会話の宝庫です。親しみやすいメロディーに乗せ、感情を込めてみると不思議なくらい韓国語
が体に染み込んできて、思わず口ずさんでしまうから不思議です。

ぜひ、韓国語学習のヒントにしていただきたく、初級の方でもご参加頂ける
「ミュージカル『パルレ』で学ぶ韓国語講座」を全5回で、先にご紹介した書籍の著者、日下氏を講師にお招きし、開講することになりました。

「あ、私、韓国語をスラスラ口にしてる!」をぜひ、日下氏と実感していただきたいと思います。詳細は「講座情報」で!



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