韓国メディアのソウル新聞は10日、民間や公共全領域を襲った中国発の尿素水不足事態は、政府の無能がもたらしたと批判した。
尿素水の津波が襲う前に何度も警告音が鳴ったが、政府は全く気付かなかった。尿素水が管理対象の戦略物資ではなかったため関心もなく、物流交通などの日常生活全般に大きな混乱が生じるとも考えられなかった。
別途の検疫や検査なしに輸出していた尿素など29種の肥料品目に対し、中国が先月11日に輸出前の検査を義務付けると公告したのに続き、15日から輸出制限措置を取ったが、政府は15日以上黙っていた。
政府は今月2日になり、関係省庁会議で尿素水問題を本格的に扱い始めた。しかし、実効性に疑問が残る「手遅れ対策」だけを打ち出している。根本的な対策でもない、臨時策の「海外輸入物量の確保」で対応し、国民に恩着せがましく振る舞っている。
業界では政府の「尿素探し」が、見せかけにすぎないと指摘している。中国から入ってくる尿素は、ほとんど国内企業がすでに契約した物量だ。中国の税関に縛られていた物を遅れて輸入しただけだ。
自動車業界の関係者は「中国の輸出制限措置がまだ解かれておらず、他の輸入先も見つかっていないため、政府の対応は『焼け石に水』にすぎない」と指摘した。
オーストラリアから、尿素水2万7000リットルを輸入するのに、軍輸送機を活用するのは不適切だという批判も出ている。2700万ウォン(約262万円)相当を持ち込むのに、軍輸送機のガソリン代だけでも、4倍近い1億ウォン(約970万円)以上を使うことになるからだ。
こうした軍輸送機投入の実効性をめぐる否定的な世論に対し、軍関係者は同意できないと語っている。
11日イーデイリーによると、ブ・スンチャン国防部報道官は同日の定例会見で「非効率的ということには同意できない」と一蹴した。
ブ報道官は「国家災害時に軍輸送機を投入することが可能だ。今は交通や物流が、心配な状況」とし、「韓国軍は現在の状況も国家的災難状況と認識し、軍輸送機投入を決定した」と説明した。また、「経済的価値としてのみ国の災難状況を評価することについては懸念を示している」と付け加えた。
そうした中でも、政府の政策に対して批判の声が相次いでいる。
11日、韓国経済新聞によると、政府は車両用尿素水の販売量の制限を決めたという。乗用車の運転者は最大10リットル、貨物・ワゴン車、建設機械・農機械運転者は最大30リットルまでしか車両用尿素水を買えなくなった。政府では販売先もガソリンスタンドに限ることにした。
昨年3月の新型コロナの発生初期、深刻なマスク品薄現象が起きたときに、政府が公的マスクの販売量を1人当たり2枚に制限した措置と全く同じだ。中国の輸出制限措置を適時に確認せず、手をこまねいていたが、「尿素水高騰」現象が起きてから、ようやく国民の犠牲を強要する、その場しのぎの処方を出したという批判が上がっている。
9日、国民日報によると、政府ソウル庁舎前で同日、全国建設労働組合が記者会見を開き、建設機械の尿素水の高騰を巡り、政府に対策を要求した。
この日、建設労組は「1万ウォン(約970円)もしなかった尿素水が10万ウォン(約9700円)以上に急騰した」とし、尿素水供給の解決、尿素買い上げ店の売り惜しみ規制および処罰、建設機械労働者の救済案作りなどを要求した。
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