日本、米国、オーストラリア、インド間の安全保障協力体「クアッド(Quad)」史上初の首脳会議が間もなく開かれる中、韓国政府はクアッドと距離を置いている。韓国政府が米中との間で重心が取れていないと心配する声が出ている。
クアッドは米国が2019年に対中国けん制を目的に主導して設立した非公式の4ヶ国安保協議体だ。韓国政府はこれまでにクアッドはもちろん、「クアッドプラス」(韓国・ベトナム・ニュージーランド)の構想も要請されたことがないとし、あまり積極的ではない態度を維持してきた。
ブルームバーグ通信によると、オーストラリアのスコット・モリソン首相は5日、記者団に対して、クアッドの4ヶ国が中国の影響力拡大に立ち向かうため、映像通話方式で史上初の首脳会議を開くことを明らかにした。読売新聞も同日、複数の日本政府関係者の言葉を引用して、クアッド初の首脳会談が今月中旬に開かれると報じた。
先月18日、バイデン政府発足後にクアッド外相会議が開かれた。外相会議後初の首脳会議であるだけに今回の会議に関心が集まっている。特に米外交・国防相が今月15日から19日までの訪日および訪韓中にクアッド首脳会議が開かれる可能性があるという見通しが出ているだけに、日米、米韓同盟の温度差が浮き彫りになる可能性もある。
文在寅(ムン・ジェイン)政府は日韓関係改善の意志を見せつつ米国が推進する日米韓協力に積極的な姿を見せているが、クアッドなどの対中国けん制の安保協議体には消極的な立場を維持している。文大統領は1日、3・1節記念演説で初めて“日米韓”協力に言及した。
韓国政府はクアッドプラス参加に対しても受動的な立場を示している。韓国・外交通商部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官は就任当時、クアッドについて「透明かつ開放的で包容的であり、また国際規範を遵守するならば、どの地域の協力体または構想とも積極的に協力できる」と条件付きで参加する意向を示した。これは韓国の最大交易国である中国政府を意識した発言と受け止められている。
米中覇権の対立の下で困惑している状況だが、韓国政府は綱渡り外交を続けている。ただ、外交関係者の間では「(韓国)政府の米中“綱渡り”外交がバイデン政府の下では通じない」として、綱渡り外交の有効期限は切れたと見ている。
韓国政府がバイデン政府が推進する同盟復元構想から離脱し、北東アジアの新しい秩序と協議体に便乗できず、米韓同盟に亀裂が生じたのではないかという指摘まで出ている。
経済社会研究院外交安保センターのシン・ボムチョル センター長は「過去のように米中間では(綱渡り外交を)せず、韓国の利益中心に再検討する必要がある」とし、「米韓同盟に基づいて“中韓戦略的協力パートナー関係”を発展させていくのが正しい」と指摘した。
シン センター長は「クアッド参加要求は続くはずだから、そろそろ立場を決めなければならない」とし、速やかなクアッド参加意思を米国に伝えるべきだと主張した。
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