「エンデミック」は新型コロナ終息を意味するものではない=韓国報道(画像提供:wowkorea)
「エンデミック」は新型コロナ終息を意味するものではない=韓国報道(画像提供:wowkorea)
「少し性急だという意見もあるが、いつかは『エンデミック(風土病化)』が訪れることに備え、日常生活や医療体系の転換などは我々があらかじめ準備しておかなければならない課題だ。」

これはキム・ブギョム(金富謙)韓国首相が2月24日、政府ソウル庁舎で開かれた「新型コロナウィルスオミクロン株対応専門懇談会」で述べた発言だ。当時、政府はオミクロン株流行のピークを2月末から3月初めに予想し、濃厚接触者の隔離義務廃止、防疫パス(接種証明・陰性確認制)の中止など、防疫を緩和する方向に舵を切った。大半の専門家らは、流行のピークが来る前に防疫措置を解除すれば、感染爆発によって重症者や死者が大幅に増える可能性があると警告していた。

結局、2月末から3月初めに1日最大で17万人としていた政府のピーク予測は完全に外れ、3月の3週目(13〜19日)に1日62万人まで感染者が増えた。その後も感染力が30〜50%高いステルスオミクロン(BA.2)の優勢株化により減少傾向が鈍化し、韓国では毎日20万人以上の感染者が発生している。

特に金首相のエンデミック発言以来、わずか1か月で1万693人(1日平均254.6人)の死者が発生した。ピーク予測が外れて経口治療薬の供給量が足りず、死者がさらに増加したとする批判も出ている。また、全国の火葬施設は飽和状態に達し、葬儀後、火葬するまでに数日間待機しなければならない事態が起きている。

このような状況にもかかわらず、金首相は1日、中央災難安全対策本部会議で3月末の米ウォールストリートジャーナルの報道を引用し、「大韓民国はエンデミックに転換する世界初の国家になれる」と再びエンデミックに言及した。

しかしウォールストリートジャーナルの記事は、韓国が米国や英国などの流行のピーク時より3倍多い感染者が出ているにもかかわらず、感染拡大防止をあきらめる状況をエンデミック転換にたとえた意図が多分にあった。にもかかわらず金首相は同記事の趣旨を履き違え、エンデミック転換を「K防疫」の成果を強調するために使ったのだ。

韓国の国内外の専門家らは、エンデミックはコロナの終息を意味するものではないと指摘している。

英国の進化生物学者、オックスフォード大学のアリス・カツラスキー教授は1月末にネイチャー誌への寄稿で、「エンデミックという語句は新型コロナウィルスのパンデミックにおいて最も誤用される言葉のひとつになった」とし、「新型コロナウィルスが自然に終息するという意味ではない」と伝えた。続いて「エンデミックは感染者と非感染者が一定のバランスを取った静的な流行状態で、マラリアや小児麻痺、結核などがこれに該当する」とし、「マラリアは2020年に60万人以上、結核は150万人以上が死亡するなど広範囲で致命的であり、正常に戻ったという意味ではない」と強調した。

韓国国内の専門家らも、エンデミック転換のためには、オミクロン株の感染拡大のあとにも、さらに毒性の強い新たな変異株が出現しないか、今年下半期以降も引き続き見守らなければならないと指摘している。また、インフルエンザのように低い致命率で季節ごとに一定規模で流行していないかを確認しなければならず、重症化・死亡リスクを下げるワクチンと治療薬が十分確保されなければならないと説明している。

チョン・ウンギョン疾病管理庁長も3月28日の定例記者会見で、「新しい変異株が登場し、国内での発生や、海外から流入する可能性がある」と強調した。

ウイルスは新しい伝染病を引き起こすため、絶えず人間の免疫を回避する方向に進化する。韓国政府がエンデミックへの方針転換を新型コロナウィルスの終息と受け止めた瞬間、2年以上苦しんできた国民が再び新たな感染の危険にさらされる可能性があるという事実を忘れてはならない。
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