「国軍の日」は韓国の記念日で、もともと「空軍の日」(10月1日)、「陸軍の日」(同月2日)、「海軍の日」(同月3日)に分かれていた軍の記念日を1956年に統合し、同月1日を「国軍の日」と定めた。10月1日は1950年、朝鮮戦争で北朝鮮軍に押され気味だった韓国軍が、反撃しながら北進を果たした日だ。
式典では、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知してから先制攻撃するまでのいわゆるキルチェーン・システム、発射されたミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)、北朝鮮から攻撃された場合に報復攻撃を行う大量反撃報復(KMPR)の戦力を備える戦力増強計画の、いわゆる「3軸システム」について紹介された。
式典には230ミリ級多連装ロケットシステム「天舞」や、地対地弾道ミサイル「ATACMS」、ミサイル「玄武2」、「玄武3」、偵察用無人航空機(UAV)、地対空誘導弾パトリオット、戦車K2、自走砲K9などが登場した。また、空軍のアクロバット飛行チーム「ブラックイーグルス」が祝賀飛行を行ったほか、航空管制機E737や在韓米軍のA10攻撃機などが編隊飛行を披露した。
最新ミサイル「玄武5」の映像も初めて公開された。「玄武5」は、「玄武4」よりも弾頭の重量など性能が向上し、世界で最も重い8~9トンの弾頭が搭載可能。弾頭の重量を軽くすれば3000キロ以上飛行する中距離弾道ミサイルにもなるという。「玄武5」は韓国軍が保有する事実上初めての中距離弾道ミサイルでもある。1発で北朝鮮の地下バンカーまで無力化できる威力を持つとも言われており、「怪物ミサイル」と表現した韓国紙の朝鮮日報は「北朝鮮はもちろん、中国など周辺国の挑発にも対抗できる『韓国型毒針兵器』となる」と伝えている。
式典で演説した尹大統領は「北朝鮮が核兵器の使用を企図するならば、韓米同盟とわが軍の圧倒的かつ決然とした対応に直面するだろう」と述べた。尹氏が「圧倒的な対応」との表現を用いたことについて、韓国軍の関係者は「『玄武5』などを含む韓米連合軍の戦力を総動員し、北の挑発を抑止するという意思の表れだ」と説明した。
一方、式典で披露された映像では、韓国陸軍を紹介する場面で中国軍の装甲車が登場。国防部は制作過程のミスとしており、式典の模様を放送したテレビ各社に対し、インターネット上に掲載している映像の修正を依頼した。映像では、陸軍を紹介する場面で装甲車が映し出されたが、これは韓国軍が使用するものではなく中国人民解放軍の装甲車「ZSL-92」だった。また、式典で軍歌「滅共のたいまつ」が「勝利のたいまつ」と紹介され、韓国メディアは「気が緩んだ国防部」(朝鮮日報)などと批判している。
こうした中、北朝鮮は、韓国の「国軍の日」の1日早朝、平壌郊外のスナン(順安)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。韓国軍は飛距離が約350キロ、最高高度は約30キロ、速度は約マッハ6と発表した。
また、4日には中距離弾道ミサイル1発を発射した。飛行距離は約4600キロと推定され、これまでで最長。北朝鮮は先月25日からミサイルを相次いで発射しており、わずか10日間で5回にも上っている。
しかし、北朝鮮はこれまで「国軍の日」など韓国軍による大規模行事の日にミサイルを発射することはなかった。今回は前例を破った形で、韓国軍は「過去に行われた挑発の枠を破っている」としてその意図を分析している。
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