捜査結果を発表するソウル中央地検の鄭炳斗(チョン・ビョンドゥ)特殊捜査本部長=9日、ソウル(聯合ニュース)
捜査結果を発表するソウル中央地検の鄭炳斗(チョン・ビョンドゥ)特殊捜査本部長=9日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル9日聯合ニュース】先月20日にソウル・竜山再開発地域で立ち退きに反対し立てこもっていた住民と警察の衝突で警察官1人を含む6人が死亡した事件と関連し、検察は住民と民間業者ら27人を起訴したが、警察には法的責任はないとする最終結論を発表した。事件の直接原因は、立てこもり住民が投げた火炎瓶がシンナーに引火し発生した、見張り台の火災だと明らかになった。
 事件を捜査してきたソウル中央地検捜査本部は9日午前に捜査結果を発表し、警察の鎮圧作戦に抵抗し火災を発生させ警察官の死傷に深く関与した疑いで、現場に立てこもっていた5人を拘束起訴し、加担した15人を在宅のまま起訴した。警察については、惨事につながった火災の発生に直接の責任はなく、警察特攻隊を動員した作戦も適法なものだったとし、嫌疑なしと処分した。

 検察によると、警察特攻隊は先月20日午前7時19分ごろ2度目の見張り台侵入作戦を実行した。立てこもり住民らは見張り台4階から階段と壁面にシンナーをまき、警察に抵抗するため火炎瓶を投げたところ、シンナーに引火し、火が1階まで広がった。この過程で警察に抵抗し火災発生に関与した住民3人に特殊公務執行妨害致死傷などの罪を、見張り台の外から警察に火炎瓶や石を投げた2人は致傷罪を適用した。火災に関与せず立てこもりに加担した程度が相対的に弱い15人については、在宅のまま起訴した。すでに身柄を拘束している竜山撤去民対策委員会のイ・チュンヨン委員長と治療中の立てこもり住民6人については、捜査を続けることにした。

 ただ、シンナーをまいた人物と火炎瓶を投げた人物の特定はできなかった。故意に火をつけたかどうかも確認は難しく、現存建造物放火致死傷の罪は適用されなかった。これに対し検察は、立てこもり住民全員が覆面やマスクで顔を隠しており、火炎瓶も事前に試した上で投げるなどしていることから、具体的な実行者が特定されなくとも、その過程での各種違法行為について、住民全員に共犯責任を問う必要があるとしている。

 警察側に対しては、立てこもりによる市民被害が発生している状況で、火炎瓶など危険物質の消耗を待っていてはさらに大きな公共損害が発生する恐れがあり、専門性をもつ警察特攻隊を早期に投入した措置は、不合理で違法なものだとはいえないと判断した。火災はシンナーと火炎瓶で抵抗した立てこもり住民の責任であり、警察が統制できない領域で発生した点から、鎮圧作戦と火災の原因には因果関係はないと説明した。

 このほか検察は、事件前日の19日午前、見張り台の設置を妨害しようと消防ホースで水をまくよう指示した民間業者本部長と、これを実行した同課長を暴力行為などの処罰に関する法律違反の罪で在宅のまま起訴した。また、先月20日午前1時から1時間にわたり、事件が発生した建物の3階で廃資材を燃やし、立てこもり住民らを狙い有毒ガスを発生させた別の民間業者職員ら5人も同じ罪で在宅のまま立件した。警察鎮圧作戦に民間業者が導入されたという疑惑については、「動画など関連資料から、そうした事実はないと確認された」と説明した。

 検察は、立てこもりを主導した全国撤去民連合のナム・ギョンナム議長を間もなく逮捕し、同連合の組織的介入を明らかにする一方、残る立てこもり加担者に対する捜査を続ける計画だ。

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