韓国で初めて万葉集の翻訳に取り組んだのは故金思ヨプ(キム・サヨプ)博士だが、万葉集全20巻のうち16巻の一部までの翻訳だった。李教授は韓国初となる全20巻の完訳を目指す。
まず「韓国語訳 万葉集」(東西出版)の1~3巻を刊行した。これは万葉集1~4巻の内容にあたる。
李教授は18日、聯合ニュースの取材に対し、「韓日の古代文学研究の踏み石になりたい」と話した。
李教授は釜山大学で修士・博士号取得後の1981年、東京大学で比較文学の博士課程を修めようと日本に留学した。そこで初めて万葉集に接し、新羅の郷歌(新羅中期から高麗王朝初期にわたり民間に流行した詩歌)に比べ膨大な万葉集がある日本を「とてもうらやましくもあり、ぜひ紹介したいと思った」という。
韓国は日本に比べ基礎研究が後れていると指摘した上で、今回の翻訳が研究者や後進に役立つことを願った。研究者はこれを基に多方面に、より深く研究を進めることができ、専門家以外で万葉集に関心を持つ大勢の人も読めるようになると考えている。
また、「万葉集は、日本文学の研究だけでなく、韓国の古代文学の研究にも役立つ」と話した。万葉集が編まれた7~8世紀、東アジアはグローバル時代で、新羅による朝鮮半島三国統一後に多数の百済貴族が日本に渡り、日本の文学などに大きな影響を及ぼしたと説明した。
李教授は2009年に翻訳に本格着手した。定年退職するまでの9年間の間に翻訳を終えたい考えだ。
この先の道のりを考えると気が遠くなりそうで、始めたことを後悔することもある。それでも、「最近よく、『手始めが半分だ』という韓国のことわざが思い浮かぶ。始めたのだから半分進んだわけで、『それなら終わりがあるだろう』と、自分を励ました」と話した。
中西進・元京都市立芸術大学長は推薦の言葉を寄せ、李教授の取り組みに賛辞を贈った。
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