◇3カ国経済の現況
2010年時点で、3カ国の国内総生産(GDP)は計12兆3443億ドル(約1003兆円)と世界全体の19.6%を占めている。欧州連合(EU、約30%)と米国(約23%)には及ばないが、世界経済での影響力は大きい。貿易額は5兆3236億ドル、人口は15億2000万人と、それぞれ17.6%と22.3%を占めている。
国別の経済規模には差がある。韓国のGDPは1兆ドルで、世界2位の中国(5兆9000億ドル)、3位の日本(5兆ドル)の約5分の1にすぎない。国民1人当たりのGDPは日本が4万2820ドル、韓国が2万591ドル、中国が4382ドルとなっている。外貨準備高は中国が2兆8473億ドル(世界1位)で、日本が1兆962億ドル(2位)、韓国が2916億ドル(6位)と上位に入っている。
貿易額は中国が2兆8473億ドルで最も多い。日本は1兆4571億ドル、韓国は8916億ドルだ。3カ国間の貿易額は1999年の1294億ドルから2011年に6838億ドルと5.2倍増加した。3カ国間の経済協力は分業体制に基づく生産ネットワークを構築し、発展している。
◇FTAの経済効果
韓国の政府系シンクタンク・対外経済政策研究院(KIEP)は3カ国のFTAが締結されれば、韓国では今後10年間で最大163億ドルの経済効果があると試算した。交渉次第では協定発効後5年間でGDPを0.44%、10年後には1.45%引き上げると分析した。
KIEPのキム・ヨングィ地域通商チーム長は「外国人投資家の投資増加や非関税障壁の撤廃による効果まで考慮すると、マクロ経済への効果はより大きい」と説明した。
同じく政府系シンクタンクの韓国開発研究院は韓国のGDPは3.38%、輸出は6.77%伸びるとの見通しを示した。石油化学や機械、電機・電子、自動車、鉄鋼などの輸出拡大を見込んだ。
ただ、農水産分野は3カ国間の貿易が活発に行われているのに加え、高い競争力を持つ中国とは別途のFTA交渉を進めているほか、韓国と日本は農業保護政策を取っているため、開放の範囲は広くならないとの見方が多い。
◇FTAの経済以外の効果
FTA効果は経済面だけではない。FTAによる貿易拡大は互いの緊張を緩和させ、依存度を高める。FTAは尖閣諸島と独島をめぐる対立、北朝鮮問題など地政学的な紛争の平和的な解決を模索する機会を与え、新たな北東アジア時代を築き上げるとみられる。
このためには各国の努力が求められる。韓国の民間シンクタンク、世宗研究所のキム・ソンチョル首席研究委員は3カ国が克服すべき課題として、軍事安保上の衝突、経済的な競争関係、歴史認識、日本・米国と中国の覇権競争などを挙げた。
◇残りの手続きと課題
FTAの交渉入りを宣言すると、3カ国は市場開放の幅や範囲などについて本交渉を行う。2カ国間のFTA交渉は通常1~3年がかかるため、3カ国間の交渉はそれ以上の時間が必要とみられる。最も懸念されるのは日本と中国の主導権争いだ。日本の農業保護政策や韓国の産業被害への懸念、サービス・投資・知的財産権に対する中国の消極的態度などの問題もある。
韓国外交通商部の崔京林(チェ・ギョンリム)FTA交渉代表は「各国の利害関係が絡み合うため交渉は容易ではなく、地政学的な対立の影響を受ける可能性が高い。妥結までは予想より時間がかかると思う」と述べた。
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