記者会見を行うキム・ジウン監督(左)=15日、ロサンゼルス(聯合ニュース)
記者会見を行うキム・ジウン監督(左)=15日、ロサンゼルス(聯合ニュース)
「韓国映画の演出の強みがハリウッドでも認められました」――。
 韓国映画の監督としては初めてハリウッド映画のメガホンを取ったキム・ジウン監督は、韓国と米国の映画製作の方法が大きく異なり苦労したが、韓国的な特色を出すことができたと自負した。
 韓国映画「グッド・バッド・ウィアード」「悪魔を見た」で知られるキム監督は、米カリフォルニア州前知事の映画スター、アーノルド・シュワルツェネッガーの復帰作「ラストスタンド」の監督を務めた。同作品は退職を控えた田舎の保安官と麻薬王の対決を描いた。米国で18日に公開される。
 映画公開を前にプロモーションのため訪米中のキム監督が14日に現地で記者会見を行った。以下は一問一答。
――初めてハリウッド映画を演出した感想は。
「ハリウッド映画を見ながら育った世代だ。ハリウッドは世界の映画産業の中心。韓国の映画監督がハリウッド映画を撮ったことは韓国のサッカー選手や野球選手が英プレミアリーグや米メジャーリーグの選手になるのと同じようなものだ。光栄でうれしい。一方ではもっと努力すべき点があったのではないかという責任感も感じる」
――シュワルツェネッガーとの作業はどうだったか。
「さすがハリウッドのトップ俳優という感じだった。さまざまなタイプの監督と作業したからか、監督が望んでいるものが何なのか、監督が注文したことが映画の目標にふさわしいのか、すぐに把握していた。最初のころはハリウッドの製作システムに慣れず作業が遅れた。製作会社からもピッチを上げるよう催促されたが、シュワルツェネッガーは『監督はアーティストだ。十分な時間を与えるべきだ」と話していた。おかげで乱れそうになったペースを調整することができた。
 彼自身も久々の映画界復帰で不安な時期だったろうが、無名の韓国の監督を信じてついてきたくれたし、声援と支持を送ってくれた」
――慣れるのに大変だったハリウッドのシステムとはどういうものか。
「韓国では監督の地位は帝王のようなものだ。意思決定構造が縦型なので、決定を下せば直ちにスタッフに伝えられ実行に移される。
 ハリウッドでは権限が水平型だ。私は現場で多くのアイデアが浮かぶが、アイデアを実行に移すには皆の同意を得なければならない。時間は限られているのに私の考えに対する反応を得るまでに時間がかかりすぎる。韓国では助監督が監督の味方だがここでは違う。監督は韓国よりもさらに孤独だ」
――言葉の問題はなかったか。
「最初は言語が最大のハンディキャップだと思っていたが、本質をより早く伝える手段が映像だという事実に気が付いた。製作者のロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラも言語以前の何かがあるということを知ったと打ち明けた。俳優たちもそのように感じていた」
――韓国映画の製作のノウハウが役に立ったか。
「韓国映画の強みを証明してみせるつもりだったので、撮影監督、音楽監督、そして現場の編集スタッフと共に(ハリウッドに)来た。特に撮影現場での編集という概念はここでは非常に珍しいものだった。韓国人の仕事ぶりには皆驚いていた。俳優のフォレスト・ウィテカーは撮影直後に編集された画面を見て、次に映画を撮るときは現場での編集者をスカウトすると言っていた。
 音楽も好評だった。韓国映画の力、資源、能力を誇示した機会だったと思う。俳優もやはり韓国の俳優を使いたかったので、脇役だがわりと重要度がある米連邦捜査局(FBI)要員役にダニエル・ヘニーを起用した」
――韓国映画の製作方式が通用したとみているか。
「ハリウッドでみかけることができない新鮮なスタイルや作業方式をある程度マッチさせたと評価している。私の映画を見て私を起用したのなら、韓国的なことを期待したのではないだろうか。そのような面では製作会社も配給会社も満足したと思う」
――演出で重点を置いた部分は。
「この映画はシュワルツェネッガーの復帰作だ。彼は『ターミネーター』に代表される無敵のアクションスターだ。誰もが強力なアクションを期待したはずだ。期待通りパワフルなアクションに重点を置いたが、人間的な面や自然に年を重ねたアクションスターの姿を収めようとした。
 欲望に向かって狂ったように突っ走る男たちを描いた『グッド・バッド・ウィアード』のアクションと比べると、今回は何らかの価値を守らなければならないという内容だったのでアクションをさらに強めに描いた」

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