北朝鮮は通常兵器で韓国との差が開いた1980年代、核兵器や長距離ミサイルなどの大量破壊兵器(WMD)開発に力を入れ始めた。この後、北朝鮮は形勢を逆転したとの評価を受けるまでになった。
そんな中、軍事的劣勢に立たされた韓国で出てきたのが「核武装論」だ。核を保有すべきだとの声が保守与党セヌリの一部などから上がっている。
同党の代表で、朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領の側近とされる黄祐呂(ファン・ウヨ)代表は核実験翌日の13日にあった党の幹部会議で「朝鮮半島の軍事的バランスが何よりも重要になった。北東アジアの軍事的緊張はもちろん、核のドミノ状態に備えなければならない」と力をこめた。発言は韓国の核保有を念頭に置いたものとされる。
同党の鄭夢準(チョン・モンジュン)元代表も「独自の核抑止力を持つことが必要だ」と話した。
政府系の国家安保戦略研究所のパク・ビョングァン研究委員は「現在の局面は高度な戦略を必要とする。使用できるオプションを全て検討するべきだ」と指摘した。
パク研究委員は北朝鮮との南北非核化共同宣言(1992年)の破棄を提起した上で、米国から戦略核兵器を導入し、核開発を段階的に進めていけると主張。「米国が核の傘を提供するとしているが、朝鮮半島で開いたことのない傘を信頼できない」と話す。
ただ、核兵器を保有するためには核拡散防止条約(NPT)脱退などを含め国際的な枠組みから離脱するという非常手段が必要となる。このため、合法的な枠内で核能力を高めるべきとの主張も出ている。
ひとまず核兵器製造の第一歩となる核物質を確保するために、ウラン濃縮と核再処理技術・施設を確保すべきとの意見だ。
国策シンクタンク、統一研究院のトップを務めた金泰宇(キム・テウ)氏は「国際的な枠組みから外れて核武装をするのは不可能だ。ただ、濃縮・再処理技術を保有して核兵器を製造できる潜在能力を持つことは可能」との見解を示した。
現在、日本は平和的利用に限ってウラン濃縮や再処理をする施設や技術を保有している。
韓国の現政権は、使用済み核燃料の国内での再処理の承認を盛り込んだ原子力協定改定案を米国と協議しているが、核不拡散を唱える米国は再処理を認めていない。
米国との協議は今月25日に発足する朴槿恵次期政権の重要課題の一つとなる。韓米原子力協定について、セヌリ党の鄭玉任(チョン・オクイム)前国会議員は「米国は韓国内の原発廃棄物について、韓国国民が納得できる案を出すべきだ」と主張する。
Copyright 2013(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0