今年のヒット作をみると、「7番部屋の贈り物」のリュ・スンリョンと「新世界」のファン・ジョンミンが1970年生まれの42歳だ。二人は韓国映画界を代表する演技派俳優ソン・ガンホ(1967年)、ソル・ギョング(1968年)、キム・ユンソク(1968年)に加え、40代の主演俳優として地位を固めた。
一時は「スター」のイメージが強かったものの、40代に入り老練な俳優に成長したケースもある。「王になった男」で初の単独主演を務めたのに続き、ハリウッド映画「G.I.ジョー バック2リベンジ」に出演したイ・ビョンホン(1970年)、「霊媒ヤクザ」で映画復帰を果たしたパク・シニャン(1968年)、「新世界」で俳優としての存在感を見せたイ・ジョンジェ(1973年)らは40代俳優の層を厚くした。
チェ・ミンシク(1962年)やハン・ソッキュ(1964年)らは50代主演俳優の時代を切り開いている。チェ・ミンシクは昨年の「犯罪との戦争:悪い奴ら全盛時代」と「新世界」で名演技を披露。ハン・ソクギュは「ベルリンファイル」と「パパロッティ」で映画復帰に成功した。中年俳優ではアン・ソンギら以外に主演級として目立つ俳優がいなかったことを考えると、二人の活躍は目を見張るものがある。
40~50代の俳優の活動が増え、人気を得ている背景には観客層の変化と無関係ではないとの分析がある。昨年から観客の主な年齢層が20~30代から30~40代に高まり、50代の観客も急増したとの複数の調査結果が出ている。
映画会社はこうした流れを映画の制作やマーケティングに積極的に反映している。今月10日に公開される「伝説の拳」は代表的な例といえそうだ。学生時代の友人3人が40代になり、テレビの格闘オーディション番組で再会するというストーリーは郷愁を誘い、40代の男性観客の支持を得るとみられる。主演はファン・ジョンミン、ユ・ジュンサン(1969年)、ユン・ジェムン(1970年)と、映画やテレビドラマで活躍している3人を起用した。映画投資配給大手、CJエンタテインメントの広報チーム長は「昨年から映画消費層に浮上した中年層をターゲットにするため、同じ年齢の主人公が登場する映画が増えた」と話す。
一方、韓国映画界の中核を担っていた30代男性俳優は前より層が薄くなっている。ハ・ジョンウ(1978年)やパク・ヘイル(1977年)、チャ・テヒョン(1976年)、リュ・スンボム(1980年)、イ・ソンギュン(1975年)、ソ・ジソブ(1977年)が映画出演を続けている。30代に数多くのヒット作で主演を務めたシン・ハギュン(1974年)とオム・テウン(1974年)はもうすぐ40歳になる。スター俳優として確固たる地位を築いていたウォンビン(1977年)は「アジョシ」(2010年作)以降の出演作がない。
こうした事情から、兵役を終えた30代初めのカン・ドンウォン(1981年)、チョ・インソン(1981年)、ヒョンビン(1982年)の活躍に期待が高まっている。
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