キム・ナムギル の最新ニュースまとめ
ことし1月にドラマ「赤と黒」のコンサートイベントのために来日し、ファンと約束したのが、オリンパス・アンサンブルのコンサートを日本で開くことだった。その約束を果たすため、名古屋、大阪、そして東京オペラシティ、コンサートホールという世界的に有名なアーティストたちがこぞってリサイタルを行う場所で開催が決まり、チケットはあっという間に完売となった。
オリンパス・アンサンブルとは、若くして世界各国のコンクールで優勝、入賞、と最高の成績を収め、韓国のみならず、世界中を飛び回っている7人の秀逸な演奏家たちである。メンバーは19才という若さでカール・ニールセン国際コンクールを制したヴァイオリニストのクォン・ヒョクジュをリーダーに、韓国では美人ヴァイオリニストとして有名なスタープレイヤーのキム・ジユン。世界を舞台に活動中の、ヴィオリスト、イ・ハンナ。他に、気品ある音色を奏でるチェリストのパク・ゴウンに、演奏スタイルがセクシーだとナムギルが絶賛するコントラバスのソン・ミンジェ、華麗なテクニックで自由自在に楽曲を飛びまわるピアニストのパク・ジヌに、クラリネットを純粋な感性で美しく響かせるチャン・ジョンソンという精鋭たちが、奇跡のような時間をプレゼントしてくれた。彼らはクラシック音楽の大衆化と革新を目標に掲げ、正統派クラシック音楽や現代音楽、ポップスまで、スタイリッシュで独創的な舞台を展開している。
第1部は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」から始まり、冒頭からアンサンブルの真骨頂が繰り広げられ、場内の空気を温める。そして、観客お待ちかねのキム・ナムギルが黒のタキシードに身を包み、匂い立つようなオーラを湛えて登場した瞬間、場内は割れんばかりの拍手やため息で一瞬騒然となる。
満席の客席から沸き起こる歓声に照れながら、「きょうはクラシック音楽のコンサートですが、格式に拘らず、リラックスして楽しんで下さい!」とあいさつ。「クラシックは寝る前に聴くと癒される素敵な音楽だと思います。アンサンブルのメンバーは大変な実力があり、その演奏する姿に魅了されて、クラシックは耳で聴くことのほかに目で見る音楽だと感じました。きょうはそこにもポイントを置いて楽しんで欲しいです」と、話した。
キム・ナムギル自身、クラシックのアーティストの映画を制作することを周囲に話したら、「クラシックのこと知っているの?」と、疑問符で聞かれたが「知らない…」と答えたそうだ。逆に、クラシックの演奏家はテレビを見る時間がないくらい、レッスンや創作活動に時間を費やしている。そのため、スター俳優であるキム・ナムギルのことを知っていたのは、ヴィオラのイ・ハンナだけで、彼とのプロジェクトを聞いて、メンバーたちに「キム・ナムギルが私たちをプロデュースするのよ!うれしいわ!」と、話しても、「誰それ?」という始末。途中で、メンバーのエピソードを添えながら曲の紹介を始めるが、短いトークのはずが客席の活気ある反応に、楽しい話は尽きることなく、つい長くなってしまう。
「パガニーニの『24のカプリース』は、作曲された時代には演奏できる人がいないほど難しい曲だと、リーダーが言っています。でも、自分は弾けると自慢したいのでしょうね。あ、コメントが長すぎるから早く戻って来い!と言われたので、皆さまこの後の演奏もお楽しみ下さい!」と、自分が袖に戻るときも、演奏者が戻るときにも、ハイタッチを交わしたりアイコンタクトを交わしたり、ひとりひとりとコミュニケーションを取りながら公演を楽しんでいた。
選ばれた曲目は、誰もが耳にした事のあるような作品を中心に組まれているが、アンサンブルが繊細で洒落た味付けを施してある。中盤にショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲より、第3楽章が演奏されたが、この曲はナムギルが彼らのコンサートを初めて聴いた時に感動し、映画を作るきっかけになった20世紀ロシア現代音楽の中でも屈指の傑作である。それ以来ショスタコーヴィチが好きになったと話すほど、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノの旋律が絡み合い、かすかな緊張感に溢れた演奏を堪能させてくれた。1部のラストはアストル・ピアソラの「リベルタンゴ」で、赤やマゼンタの照明が、多くの人々に愛されている名曲を華やかに照らした。
第2部は韓ラブでもお馴染みの古家正亨がMCとして登場。その瞬間、場内は楽しい空気に変わる。キム・ナムギルから、改めてメンバー7人の紹介があり、彼らがどれだけの才能と実力を併せ持ったアーティストなのか、プロフィールで更に実感させられた。
キム・ナムギルから観客への贈り物は、映画「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」の中で、アル・パチーノがタンゴのデュエットを踊る名シーンで使われていた、“ポル・ウナ・カベーサ”。自分が大好きな曲を観客に届けたかったという。
そしてオリンパス・アンサンブルからは、韓国と私たちを強く繋ぐきっかけとなったドラマ「冬のソナタ」を始めとする、韓国ドラマのOSTメドレー。「天国の階段」や「シークレット・ガーデン」、そしてナムギル出演のドラマから「赤と黒」「サメ(原題)」などが、穏やかな調べを紡いで綴られた。
そして、キム・ナムギルの日本デビューシングル「ROMAN」が披露される時が来た。チェリストのパク・ゴウンは、日本でも大人気のガールズグループ「2NE1」のメインヴォーカル、パク・ボムを実妹に持つことから「ナムギルさんの歌手としての可能性は?」と、質問を受けるも「厳しい質問ですね…」と言葉を濁すと、すかさずキム・ナムギルがキレてその後はずっと彼女を威嚇。ところが聞こえてくる歌声は周囲の物音がすべて静まりかえるほどの美声であった。観客に向けて囁きかけるようなウィスパーヴォイスが広がり、場内は圧倒されずにいられない。満足げに歌い終わると、物凄いドヤ顔を見せてお茶目な一面も忘れないが、凄まじい喝采を浴びて、この日最高のハイライトを飾った。
そして、観客のアンコールに応えて再登場。「僕が『アンサンブル』という映画を作ろうと思ったのは、強い個性が1つの場所に集まることは様々な困難が伴いますが、集合したら素晴らしい音楽が生まれ、音楽を創作し演奏する姿は自分の演技にも大きな影響を与えました。韓国と日本も同じです。お互いの違う部分をきちんと認識して理解を深め、自分のものとして受け入れて両国が力を合わせれば、アジアの人々はひとつになり、世界中が仲良くなれるのではないでしょうか。それぞれが持つ良質の文化は和解のための素晴らしい道具となり、共有できるようになることが自分の夢です」と、熱く語った。
そして、韓国の愛唱歌「アリラン」で、コンサートは終演した。クラシックの演奏会では、通常出ハケの扉は演奏中閉じられているのだが、このコンサートでは終始開け放たれており、そこから、ナムギルは彼らの演奏する姿をじっと見つめていた。最後、カーテンコールに登場せず、あくまでも主役はアンサンブルのメンバーという姿勢を崩さなかった。
3年ぶりの新作ドラマ「サメ(原題)」のハン・イス役を演じるに当たって、最大のライバルを自らの人気ドラマ「赤と黒」のゴヌクだと言う。自分の限界を冷静に分析し、新しい可能性を限りなく秘めたキム・ナムギル。彼が放つ溢れるばかりの愛情に、韓国と日本の未来はこれからも結びついていく希望を感じた。来年には韓国版「パイレーツ・オブ・カリビアン」の映画主演を控えていると発表もあり、客席を埋めたすべての観客は、これからの活躍を待つ楽しみを胸に抱えて会場を後にした。
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