文氏は会見で「今辞退することが朴大統領を助けることだと判断した」と述べた。首相候補に指名されてから「国がさらに深刻な対立と分裂の中に引き込まれていった」として、辞退を決心せざるを得なかったと説明した。
また「このような状況は朴大統領の今後の国政運営の妨げになるのではないかと心配になった。国の統合と和合に少しでも寄与しようという私の意志も無意味になってしまった」と述べた。
文氏は10日に首相候補として指名されたばかり。候補指名後は、ジャーナリスト時代に書いた保守色の強いコラムや、日本による植民地支配や南北分断は「神の意思」と述べた過去の発言で強い批判を浴びていた。問題視された一部の発言については謝罪したが、辞退を求める声は収まらなかった。
朴政権で首相候補者が辞退するのは政権発足当時の元大統領職引き継ぎ委員会委員長の金容俊(キム・ヨンジュン)氏、元大法院(最高裁)判事の安大熙(アン・デヒ)氏に続き文氏で3人目。
朴大統領は、旅客船セウォル号沈没事故の責任を取って4月下旬に辞任を表明した鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相の後任として5月22日に安氏を指名した。しかし、安氏は判事退任後に弁護士として多額の報酬を得ていたことなどが批判され、指名からわずか6日で候補を辞退。その後、文氏が指名された。同事故後に低下した支持率回復のため、人事刷新を進めている朴政権にとって大きな痛手となりそうだ。
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