「鳴梁」の一場面=(聯合ニュース)
「鳴梁」の一場面=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で朝鮮水軍を率いて活躍した朝鮮王朝時代の名将、李舜臣(イ・スンシン)の人気が急上昇している。大ヒット中の韓国映画「鳴梁」(原題)をきっかけに、出版界にもブームが広がろうとしている。

チェ・ミンシク の最新ニュースまとめ

◇「鳴梁」が新記録次々、映画界を席巻
 チェ・ミンシク主演の「鳴梁」は7月30日の公開初日に68万人の観客を集め、前週に韓国映画「群盗:民乱の時代」(原題)が打ち立てた封切り初日の観客動員最多記録(55万人)を塗り替えた。翌日に70万人と平日の最多記録を更新し、過去最速の3日で200万人も突破した。土曜日にあたった4日目には123万人を動員し韓国映画界で初めて100万人を超え、一日の最多記録を更新した。
◇ベストセラーの出荷7倍に
 映画が触発した李舜臣人気は、出版界でも見られる。この数か月に「しかし李舜臣がいた」をはじめ、「李舜臣の帝国」「乱中日記」「真心尽力:人生の戦場で李舜臣に出会う」「李舜臣のリーダーシップ」などが相次ぎ出版された。金タク桓(キム・タクファン)の小説「不滅の李舜臣」も先月再出版された。
 大型書店の教保文庫によると、李舜臣関連書籍は約150点に上り、販売冊数は昨年の1102冊から今年7月には1705冊と54%増加した。映画のヒットが今後本格的に書籍の販売を押し上げると期待される。映画の公開で出版から1年たった原作がベストセラー首位に立つ事例もあるためだ。教保文庫では李舜臣関連書籍の企画展も検討している。

 金薫(キム・フン)のベストセラー「孤将」(原題「刀の歌」)の注文量も増加した。出版元の文学トンネによると、1か月前の出荷は1日平均100部程度だったが、「鳴梁」の公開前後から300~400部に、今月4日には700部に伸びた。
◇「不滅」のコンテンツ
 李舜臣が映画・出版界で注目されるのは初めてではない。映画としては兪賢穆(ユ・ヒョンモク)監督が「聖雄 李舜臣」(1962年)、イ・ギュウン監督も同名タイトル(1971年)の作品を手掛けた。「乱中日記」(チャン・イルホ監督、1977年)や「救国の太陽 李舜臣」(キム・ソンチル監督、1981年)も製作された。
 テレビも李舜臣に時折スポットを当ててきたが、積極的に取り上げるようになったのは「孤将」がベストセラー入りした2000年代以降だ。特に2004年に放送が始まったドラマ「不滅の李舜臣」の視聴率は平均22%、最高33%を記録。数々の賞を総なめにした。
◇ブームの背景は?
 専門家は今の李舜臣ブームについて、旅客船沈没事故での不手際などでリーダー層への不信が募り、長引く不況に失望感が膨らんでいることを背景に挙げた。
 大衆文化評論家のハ・ジェグン氏は「こうした危機だからこそ、国民は国を引っ張ってくれる強いリーダーを望むようだ」と分析した。李舜臣の場合は、独裁とは程遠い、国民本位の強いリーダーシップを示しているという。
 映画評論家の全燦一(チョン・チャンイル)氏は「リーダーの不在が韓国社会の問題」と指摘した。「鳴梁」は李舜臣という傑出したリーダーを見せたが、自分自身を犠牲にするリーダーを願う観客の気持ちは、「鳴梁」より以前の「王になった男」「弁護人」などの映画にも反映されているとした。

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