金元大統領の告別式は雪が舞う中、ソウルの国会議事堂で営まれた=(聯合ニュース)
金元大統領の告別式は雪が舞う中、ソウルの国会議事堂で営まれた=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】聯合ニュースは2015年の韓国10大ニュースとして、社会と経済に打撃を与えた中東呼吸器症候群(MERS)の流行などを選んだ。10大ニュースは次の通り。■MERS流行で38人死亡、経済に打撃 中東で発生した感染症のMERSが、韓国社会を恐怖に陥れた。5月20日にサウジアラビアから帰国した韓国人男性のMERSコロナウイルス感染が確認されると、感染は急速に拡大。186人が感染し、38人が死亡した。感染者がゼロになるまでに190日を要した。 大型スーパーからは客足が途絶え、2000校以上が休校した。韓国の内需の大きな支えだった中国人観光客は韓国旅行をキャンセルした。MERSは不況が長引いている韓国経済をさらに低迷させた。MERSの影響で韓国の今年の経済成長率は2%台に落ち込むという見方が強い。 感染拡大と関連し、政府の初動対応にも批判が集まった。■民主化主導した金泳三元大統領が死去 韓国第14代大統領(1993~1998年)の金泳三(キム・ヨンサム)氏が11月22日、敗血症と急性心不全のためソウル市内の病院で死去した。87歳だった。 葬儀は「国家葬」として執り行われた。26日の告別式当日までに遺体が安置された病院と各自治体が設置した全国221カ所の焼香所を訪れた弔問客は23万7819人に上る。 文民政権時代を開いた金元大統領は在任中、公職者の財産公開、軍内部の私設組織の解散と軍改革、軍事政権の責任追及などに取り組んだ。経済協力開発機構(OECD)加盟や金融・不動産の実名制導入などを成し遂げたが、政権末期にアジア通貨危機に見舞われ、国際通貨基金(IMF)の支援を受ける中、任期満了により退任した。 2013年の入院時に書いたとされる「統合」と「和合」が遺訓となった。■駐韓米国大使が襲撃され重傷 リッパート駐韓米国大使が3月5日、講演のため訪れていたソウル市内の施設で、韓国人の男に刃渡り約25センチのナイフで切りつけられ重傷を負った。リッパート大使は顔の右側に長さ11センチ、深さ3センチの傷、左前腕を貫通する傷などを負った。 現職の駐韓米国大使が襲撃されるという前代未聞の事件に、韓米同盟への影響も懸念された。しかし、リッパート大使は手術から4時間後にツイッターで「韓米同盟の進展を目指し、できるだけ早く戻る。ともに進もう」と呼びかけ、退院後の会見でも「雨降って地固まる」と発言するなど、懸念を鎮めた。 大使を襲撃した男には反米思想がみられた。殺人未遂などの罪で起訴され、9月の一審で懲役12年が言い渡された。■歴史教科書が国定化へ 中学・高校の歴史教科書をめぐる政界の対立が、教育部に対する9月の国会国政監査を機に本格化した。 これまでも保守団体などが指摘し続けてきた問題だが、政府と与党は現行の検定制による歴史教科書に韓国の正統性を否定する北朝鮮寄りの内容が含まれていると主張。これに対し野党は、保守層の結集を狙った攻勢であり、日本による植民地支配時代や朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の軍事独裁を美化しようとするものだと反発した。 論争は市民団体や学会も巻き込み、政界では下半期最大の争点に浮上した。政府は10月21日、中学・高校の歴史教科書の検定制を取りやめ国定化する案を行政予告。意見の取りまとめを経て、11月3日に歴史教科書の国定化方針を確定、告示した。 新たな歴史教科書は2017年3月から各学校の授業で使われる。ただ、教育部は執筆者のメンバーを含め執筆過程を非公開とする方針を示しており、国定化が決まった後も論争は続いている。■与党や政府高官に裏金疑惑 海外資源開発の不正に絡み検察の捜査を受けていた建設会社前会長の成完鍾(ソン・ワンジョン)氏が4月に自殺した際、金品を供与したとする与党幹部や政府高官ら8人の名前をメモに書き残した。 検察は特別捜査チームによる捜査を開始し、メモに名前があった李完九(イ・ワング)首相が辞任した。また、2012年の大統領選で朴槿恵(パク・クネ、現大統領)陣営に所属していた人物も複数含まれており、違法選挙資金問題に広がるのではないかという観測も流れた。 しかし、捜査チームは3カ月で捜査を終えた。李完九氏と洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事を政治資金法違反の罪で在宅起訴し、残り6人については証拠不十分、または公訴時効成立などで不起訴とした。 野党を中心に特別検察官制度による再捜査を要求する声もあったが、与野党の政治的な利害関係の中でうやむやになった。 ■北との軍事的緊張感高まった後、高官協議 南北軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)の韓国側に北朝鮮が埋めた地雷が8月4日に爆発し、韓国兵2人が重傷を負った。韓国軍は対抗措置として10日から、軍事境界線沿いに設置した拡声器を使った北朝鮮向け宣伝放送を11年ぶりに再開した。反発を強めた北朝鮮は20日、最前線地域で韓国に向けて砲撃を加え、韓国軍は応射すると同時に警戒態勢を最高レベルに引き上げた。北朝鮮は「準戦時状態」を宣言し、朝鮮半島の軍事的な緊張が一気に高まった。 南北は22日から金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長(閣僚級)と黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長をそれぞれ首席代表とする高官協議を開始し、25日に妥結した。双方は、韓国軍による軍事境界線一帯での宣伝放送中止と北朝鮮の準戦時状態の解除、朝鮮戦争などで生き別れになった離散家族の再会、南北当局者会談の開催、民間交流の活性化などに合意した。 この合意に基づき、10月20~26日に北朝鮮・金剛山で離散家族の再会行事が開催された。また、南北当局者会談開催に向けた実務協議を11月26日に行い、12月11、12の両日に北朝鮮・開城工業団地で次官級当局者会談を開いたが、会談は物別れに終わった。■安哲秀氏が離党、最大野党分裂 最大野党、新政治民主連合の安哲秀(アン・チョルス)前共同代表が12月13日、「政権交代を成し遂げられる政治勢力をつくる」として離党を表明した。 元ソウル大教授の安氏は若者から人気が高く、次期大統領選の候補の一人としても注目されている。最大野党の民主党と安氏率いる政治勢力・新政治連合が新政治民主連合を結成してから1年9カ月、安氏は文在寅(ムン・ジェイン)党代表と革新の方向性で溝を埋められず、党重鎮らの仲裁にもかかわらずたもとを分かつことになった。 国会議員総選挙を4カ月後に控え、政界は再編へ動き出す。安氏に呼応しての離党も予想されることから、新政治民主連合は危機感を強めている。一方、新党勢力は安氏に統合新党をつくろうと持ち掛けている。■姦通罪、62年で廃止 韓国の憲法裁判所は2月26日、姦通罪の処罰を定めた刑法は違憲と判断した。刑法241条は、配偶者を持つ人が姦通した場合、2年以下の懲役を科すと定めていた。姦通の相手も同じ処罰を受ける。罰金刑はない。 裁判所は「姦通罪に対する国民の認識はこれ以上一致することはない。婚姻と家庭の維持は当事者の自由な意思と愛情に任せるべきだ」と説明した。 韓国社会ではこの条項の存廃をめぐり長らく論争が続いていた。一夫一婦制の維持、家族制度の保障、女性保護などの観点から存続を主張する意見がある一方、性的自己決定権やプライバシーの自由などのために廃止すべきとの声も根強かった。■朴大統領の中国パレード出席、初の韓日首脳会談 朴槿恵大統領は、9月3日に中国が北京の天安門広場で開いた「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」式典と記念軍事パレードを習近平国家主席のすぐそばで参観した。 この席は、1954年に北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席(当時は内閣首相)が毛沢東主席と共に軍事パレードを参観した場所だ。 朴大統領は米国と友好関係にある国の首脳としては唯一、中国の軍事パレードに出席。このため、韓米同盟関係に悪影響を与えるのではないかという懸念も出た。 だが、10月の訪米では国防総省を訪れるなど韓米同盟をアピールし、韓国の中国傾斜論を払しょくした。 11月2日には安倍晋三首相と初の首脳会談を開催したが、関係発展の鍵となる旧日本軍の慰安婦問題解決につながる決定的な進展はまだ得られていない。 ■与野党の対立目立った国会 今年一年の国会は政治も立法も存在しない「最悪の国会」という評価を受けている。鄭義和(チョン・ウィファ)国会議長でさえ12月10日の通常国会閉会後に国民向け談話を発表し、「第19代国会は存在する理由がないと最悪の評価を受けるだろう」と述べた。予算案を法定期限内に処理することができず、国会の基本責務である法案成立件数も1030件と、発議件数(4436件)の23.2%にとどまった。
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