チェ・ミンス の最新ニュースまとめ
■存在感はまるで「チェ監督」
チェ・ミンスが、本格的に芸能活動に専念したのは、俳優を数多く輩出しているソウル芸術大学放送芸能学科を卒業した後だった。
1986年に『神の息子』で映画デビューを果たし、以後は何編かの映画を通して演技力を評価され、独自の俳優活動を繰り広げた。
そんな中で、なんといっても最高の話題を集めたのが、1995年のドラマ「砂時計(モレシゲ)」だった。当代最高のキム・ジョンハク監督に見込まれ、恵まれた制作環境の中で、チェ・ミンスは俳優として新境地をひらいた。このドラマでは、「俺、震えてるかな?」の名セリフで強烈なインパクトを残した。そして、またたくまに1990年代最高のスターとなった。
すべてに情熱的な彼の性格は、作品に対する高い意識からも十分にうかがうことができる。しかも特筆すべきは、彼が制作スタッフから「チェ監督」と呼ばれていることだ。
彼は単純に俳優として演技するだけでなく、カメラの位置、照明、音響に至るまで細部までチェックする。
俳優の越権行為と思われがちだが、これが本来の彼のスタイルなのだ。このような姿にむしろ制作陣が彼の言葉に耳を傾けることが多い。
一部のスタッフの間から「チェ・ミンスさんが制作現場にいなければ不安で仕方がない」という声も出るほど、彼は撮影現場で信頼されていた。
■孤独な反抗児
チェ・ミンスは撮影現場での集中力が凄まじい。自分の習慣や生活までその役柄に没入させて、模倣の次元を超越して1人の人物に完全になりきってしまう。そういう意味では、「天性の俳優」と言うことができるだろう。
ただ、あまりにも役柄の性格にのめり込んでいるせいか、時々彼の言葉からは観念的な事象が言及されることが多い。
たとえば、あるときマスコミがチェ・ミンスにインタビューを試みたことがあったが、そのとき彼は「自転車のペダルの牧歌的な意味」や「私の空間的なページ」など、日常では使われない抽象的な言葉を羅列したという。
その言葉が気になって記者はさらに聞いてみた。・・なぜ、それだけ孤独なのですか、と。
そのとき、チェ・ミンスは次のように答えた。「落ちてくる水滴を見ていると、それが雨ではなく宝石に見えるから孤独なのです」。
この言葉から感じられるように、彼は日常生活の中でも俳優だった。彼は1日24時間ずっとスターなのである。
ただし、一つのイメージが定着していたことも事実だった。肩に力を入れたり目を大きく開いたりする態度からは、強い男性の匂いが感じられたものの、男らしさに対する過度な執着は自意識過剰と非難されることもあった。
チェ・ミンスは「タフガイ」であると同時に「孤独な反抗児」を演じていたのだ。
しかし、そんな固定観念を払拭するかのように、2004年に出演したドラマ「漢江水打令」では、柔らかい男性を好演した。ソフトなイメージで視聴者からも大きな反響を得た。たちまち人気ドラマとなり、インターネット上でも彼を高く評価する意見が後を絶たなかった。
■ジャッキー・チェンを救った男
どんなに高い評価を得ても、チェ・ミンスは浮かれない。
「インターネットのことはあまり知らないですね。私はもともと、視聴者の方たちの評価に神経を使わないようにしているからです。自分で演技の分析をすることもありません。自分が感じた通りに演技するだけです」。
自分を信じることがチェ・ミンスの俳優哲学だった。
2005年には映画「The Myth」に出演。アクション映画の最高峰に君臨するジャッキー・チェンと共演した。この撮影中には面白いエピソードがあった。
映画の舞台は朝鮮半島が三国時代を形成していた古代。中国の将軍(ジャッキー・チェン)が高句麗の王女(キム・ヒソン)を拉致し、逃げる最中に絶壁でチェ・ミンスに王女を奪還されるシーンがあった。
しかし、ジャッキーが再び王女を拉致するため馬車に近づいたとき、馬車の間隔がひらきすぎてしまい、彼はそのまま絶壁の下に転落する危機に直面した。
このときすばやくチェ・ミンスが彼の手を取って引き上げ、惨事を回避することができた。
ジャッキーが感謝したのはもちろんのこと、この日撮影が終了した後も、自分の宿舎にチェ・ミンスを招待し格別の気持ちを表したという。
また、命を助けるだけではなく、チェ・ミンスは朝鮮半島の古代の歴史をていねいに説明したそうだ。
■徹底した自己鍛練
年を重ねながら徐々に人間的な柔らかさも兼ね備えるようになったチェ・ミンス。かつては彼の前で極度に緊張してしまう俳優たちが多かったが、最近はチェ・ミンスのスタイルを真似したがる後輩が非常に増えている。
それもそのはずで、彼の魅力は衰えることを知らない。日頃から自己鍛錬を徹底しているおかげだ。
格闘技をはじめとして乗馬、水泳などに励むチェ・ミンス。その中でも剣道は4段の実力者で、陸軍士官学校で剣道を指導したこともあった。
彼は自分自身について次のように分析している。
「比較的自由を好む性格です。したがって、いつの日かいきなり演技をやめることもあるかもしれません。生物学的な年齢は意味がないと思います。若いとか年老いているとかの問題ではなく、鏡に映った私が私らしくなくなったときは、もうそれ以上演技ができません。いさぎよく引退します」。
そう語るチェ・ミンスは、今『テバク』でクセがある国王の粛宗(スクチョン)に扮し、こわいほどの存在感を見せている。
その演技の迫力はさすがである。引退はまだはるか先のことだろう。
文=「ロコレ」編集部(ロコレ提供)
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