理事会の様子=28日、ソウル(聯合ニュース)
理事会の様子=28日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者を支援する財団「和解・癒やし財団」が28日、正式に発足し、本格的な活動を開始した。 財団設立は、慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意に基づく。両国は被害者の名誉と尊厳を回復し心の傷を癒すため、韓国政府が支援財団を設立し、日本側が10億円を拠出することで合意した。 ソウル市内の財団事務所では午前10時から第1回理事会が開かれた。財団の理事長は、設立準備委員会委員長を務めた金兌玄(キム・テヒョン)誠信女子大名誉教授が就任した。理事は準備委員を中心に構成された。 今後、被害者への支援をどのように行うか具体的な内容はまだ決まっていない。財団は、被害者に直接的な支援を提供する事業と追悼のための事業の二つに分けて進める計画だが、直接的支援の割合を最大限増やし、まずは被害者の意見を反映させる方針だ。 事業費は日本政府が拠出する10億円を充てるが、拠出の時期は確定していない。財団は10億円全額を被害者支援のために使い、賃貸料や人件費など付帯費用は別途調達する方向で検討中だ。 金理事長は記者懇談会で、日本側が繰り返し撤去を求めるソウル・日本大使館前の少女像に関する質問に対し、「合意内容を見ても、少女像と10億円は全く別問題だ」と述べた上で、少女像と10億円拠出を結びつけることはあり得ないと思えばよいと強調した。 財団の事業の方向性については「財団設立の目的は被害者の傷を癒し、尊厳を回復することだ。これ以外の目的のための支出はできず、支出自体行わない」と説明した。 また、財団の名称に使われた「和解」は、「被害者と歴史の和解でもあり、(財団に)反対する人々との和解でもある。加害者を許さなければ癒しにならない。われわれが誠意を持って寄り添ったときに、被害者が加害者を許し、許しが和解につながる」と語った。 しかし、一部の被害者と、慰安婦被害者支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)など市民団体は、慰安婦問題の犯罪認定や真相究明、正式な謝罪、法的賠償、責任者の処罰などを求めており、財団の設立自体に強く反発している。6月には独自の財団「正義記憶財団」を発足させた。 金理事長は、被害者37人と個別面談を行い、意見を聞いたとした上で、「反対者は多くなかった。反対の方々もいつかはわれわれと共に歩むことができると思う」と述べた。財団側は被害者の大多数が財団の趣旨に同意したと説明している。 一方、記者懇談会終了後、ある男が金理事長の顔に催涙スプレーのようなものを吹きつけながら抗議する騒動があった。 挺対協など市民団体は財団事務所の前で記者会見し、慰安婦問題をめぐる韓日合意は無効だと訴えたほか、記者懇談会の会場を大学生約20人が占拠し警察に連行されるなど、財団は発足早々から波乱に見舞われた。
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