チ・ジニ の最新ニュースまとめ
■普通のサラリーマン
少年や少女にとって俳優はあこがれの職業。大成した俳優の多くは、小さい頃から俳優を夢見て精進してきた人たちだ。
チ・ジニは一度も俳優を夢見たことがなかった。小さい頃は何かを造ることが大好きだった。
時間さえあれば、木や紙を使っておもしろい模型を造っていた。
大学でデザインを学び、そのまま広告会社に就職。広告の写真やデザインを手掛けるクリエーターになった。
そんな彼に目をつけたのが、大手芸能事務所の関係者だった。チ・ジニは1年間にわたって俳優への転身をもちかけられた。それほど、チ・ジニには一般人でありながら俳優に匹敵するオーラが漂っていた。
しかし、チ・ジニにはその気がなかった。
「年齢も上だったし、結婚もしなければいけないので、ずっと辞退してきました」
そこまで語るチ・ジニは、なぜ芸能界への転身を決意したのだろうか。
■会社をやめる決断
「もし、IMF危機が来なかったら俳優にはならなかったと思います」
チ・ジニは率直にそう語る。
この「IMF危機」とは、1997年に韓国を襲った未曾有の経済危機のことである。IMF(国際通貨基金)から莫大な融資を受けなければならないほど、韓国の国家財政は危機に瀕した。当然ながら企業の倒産が相次ぎ、チ・ジニが勤めていた会社も危なくなってしまった。
リストラが必至の状況の中で、彼は「年が下の自分が真っ先に身を引くべき」と考え、芸能界への転身を決意した。
「誰かが辞めなければならなかったんです。一番年下の自分がやめるべきだろうと思い、1年だけ俳優としての可能性にかけてみることにしました」
しかし、芸能界は甘くはなかった。
やはり、そこは未知なる世界。チ・ジニは慣れない業界で苦労をして、さしたる成果をあげられなかった。俳優とはいっても、アルバイトで写真の手伝いをしなければならないときもあった。
それでも、一応はドラマ『ジュリエットの男』に出演するが、演技力不足もあって、さして注目されなかった。
■時代劇に対する適性
下積みを経験したチ・ジニ。徐々に演技力が磨かれていった。
そして、2002年にフジテレビと韓国MBCが合同で制作したドラマ『ソナギ』で人気女優の米倉涼子と共演することになった。
このドラマでチ・ジニは韓国の刑事を颯爽と演じて、日本でもその名が知られるようになった。
そんな彼の転機になったドラマが『ラブレター』である。今まで演じたことがないようなクールな人間に扮し、内面の葛藤をうまく表現する演技派への道を開いた。
この演技が評価されて、『宮廷女官 チャングムの誓い』で主演のイ・ヨンエと共演するという大役を射止めた。
初めての時代劇だったが、彼には少しばかりの自信があった。
「1998年に映画『イ・ジェスの乱』の男性主人公のオーディションを受け、何千人の応募者の中で最終の5人に残りました。そのときに髷を結んで扮装したのですが、時代劇がよく似合っているかも、と思ったんですよ」
このように、自分の適性を見極めていたと自負するチ・ジニ。果たして、それは当たっていただろうか。
(後編に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)
(ロコレ提供)
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