日本の時代劇には、養子縁組の話がよく出てきます。
たとえば、ある藩主に子どもがいないので血の繋がりのない同じ藩のそれなりの格式の家から養子を迎え跡継ぎにするために、江戸幕府に根回しする話やその藩の家老の一人息子が故あって有名道場の養子になったりする話です。そしてさらにその家老の跡継ぎに、これも血の繋がってない若者を据える。このような話は、韓国人には驚きで理解できないものです。
なぜなら韓国も養子を取りますが、全く血の繋がってない養子縁組は考えられないからです。何百年も続いた家柄で跡取りがない場合、同じ血族から選ぶのが普通です。韓国では日本のような家の継続よりも、血筋を重要視します。血統イコール存在の理由であり、一門の誇りであるからです。
つい先日まで法律で禁じられていたように赤の他人でも同じ祖先を持つ男女はおろか、いとこはとこ同士の結婚も禁止されていました。私の先輩に朴さんという人がいました。好きになった女性が自分の姓と同じ密陽本貫(祖先の発祥地)の朴でした。結婚したくとも両家の親や親族の猛反対はもとより、当時は民法も改正されていませんでしたので、法律上も結婚が認められていませんでした。
何とか親類縁者を説得して結婚の同意を取り付けたのでしたが、戸籍に載せることができません。けれども「蛇の道は蛇」で戸籍係が同姓〈朴〉同本〈密陽〉であることに気付かず婚姻届を受理してしまったら結婚が成立する事実を知り、戸籍係のお目こぼしで無事結婚にこぎつけました。現在法律が改正され結婚できるようになったとはいえ同姓同本の場合、大手を振って結婚できない雰囲気が残っているのが実情です。もちろん法律が改正(二〇〇五年)された今でも八等親以内は結婚できません。
※文=権鎔大(ゴン・ヨンデ)韓日気質比較研究会代表の寄稿。ソウル大学史学科卒業、同新聞大学院修了。出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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