■陸地とつながっていた済州島
約1万8000年前からの数千年の間、地球上の最終氷河期の最盛期には、日本列島が大陸と陸続きであったという事実はよく知られている。
日本海はちょうど内海のようになっていた。その氷河期が終わり、おびただしい氷が溶けて海面が上昇し、多くの島々から成る日本列島が生まれたのである。
その氷河期の最盛期に、実は済州島も朝鮮半島とつながっていた。つまり、当時の済州島は陸地の最南端に当たっていたわけだ。
そこに漢拏山(ハルラサン)がそびえている。北の方角から見れば、標高1950メートルの火山は目立って目立って仕方がなかった。当然ながら南下する際の大きな目印となる。
それでは、誰にとっての目印になったのか。
■氷河期が終わって孤立した済州島
実は、現在の朝鮮半島に住む人々の原型は、東北アジアに広く分布していたモンゴロイド系の人々である。後にツングースと呼ばれた狩猟民族と考えればいい。その種族は氷河期に暖かい土地を求めてひたすら南下した。
「遠いところに高い山がある。あそこまで行こう」
当時は済州島も朝鮮半島と陸続きだから、漢拏山の麓まで辿り着くことも可能だった。
そうやって多くのモンゴロイド系種族が最南端で定住するようになった。
ところが、氷河期が終わって水位が上がり、済州島は離島として孤立した。もはや他の種族が漢拏山まで南下することができなくなった。こうして先に最南端に達した人たちが済州島の先住民となったのである。
そして、1万数千年後の現在に至っている。
■オレンジの絶景
陸続きの状態から南海の孤島になった済州島。1万数千年も経てば、済州島の風土は陸地とはかなり違う。
たとえば紅葉。
韓国で一番暖かい済州島では、韓国北部のように寒暖差が激しい地域に比べると、島全体でも紅葉が顕著に見られる地域は少ない。
それでも、韓国最高峰の漢拏山があるだけに、標高が高い場所では相応の紅葉が見られる。特に、火山島として岩肌が多い済州島では、岩と紅葉の組み合わせが美しさを際立たせている。
さらに、秋には済州島の東端にある城山(ソンサン)日出峰の景色が出色である。ここは日の出が美しい噴火口としてよく知られるが、実際に朝焼けの中で城山日出峰を見ると、まさに紅葉に包まれたかのような「オレンジの絶景」になる。
早起きして一度見たら、絶対に忘れられない風景である。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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