李御寧『韓国人の心』から引用しますと、「恨」は別に他人から被害をこうむらなくても湧いてくる心情である。自分自身の願いがあったからこそ、また自分自身の能力があったからこそ、何かの挫折感がはじめて「恨」になるわけだ。それは、かなえられなかった望みであり、実現されなかった夢である。
他人を恨むのでなく心の奥底のマグマがフツフツと沸いてくることを「恨」と規定しています。
この欲求不満が韓国人の活力であり、荒さ、激しさであります。決して自分は劣っているとは思わず、機会や状況に恵まれないので自分の夢が叶えられないだけだと考えます。
「今に見ていろ俺だって!」この自意識が心の支えであり、目標に向かって全力投球する原動力です。ここには日本のように周りへの心配りのようなやさしさはなく、ただ目標に向かって突き進む集中力があるだけです。
普通に考えれば、一億三千万人(日本)と五千万人(韓国)の人口の差や経済力からして、オリンピックなどでは日本のほうが金メダリストが多いはずですが、近年韓国が日本より金メダリストが多い理由にスポーツ育成プログラムの充実があげられます。国民に勇気と自信と喜びを与えるのに、自国選手の国際舞台での活躍ほど効果的なものはありません。国家を代表する選手が常に練習できる施設や研究機関、そしてメダルを取った選手に与えられる報奨制度が金メダル量産に大きくかかわっています。
特に男性の場合、兵役の免除は大きなメリットで自然モチベーションを高めます。
仁川アジア大会の野球の金メダルやロンドンオリンピックでのサッカーの銅メダルはその象徴です。
韓国では法律によって、国際大会で活躍した男子スポーツ選手には二年間の兵役義務が免除されます。スポーツ選手にとっての旬の時期を軍隊で停滞させてしまうのは、本人にとっても国にとっても損失だと考えた制度です。
今はそんなことはありませんが、一昔前は国際大会で負けて帰ると優勝を期待していた国民に代わって、空港の税関員が代表選手に懲罰(?)を与えたそうです。
物が乏しい時代でしたので、いわゆる「舶来品」が貴重であり、選手たちも外国で買い物をして帰るのが慣わしだったこともあって、試合に負け国民に失望を与えたチームには税関検査が厳しかったそうです。ですが、反対に優勝したときには多少お目こぼしがあったに違いありません。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
Copyrights(C)wowkorea.jp 0