クリスマスイブの十二月二十四日は通行禁止が解除され信者だけでなく、若者たちにとっても格好のデート日和でした。
通行禁止令が解除されたのはクーデターで政権を得た全斗煥大統領が、その正当性の問題から国民の関心を逸らそうと、数々の規制を解除した一環だと言われています。プロ野球の誕生とテレビのカラー放送開始、学校の制服と海外旅行の自由化も前後して行われました。
●間に合わない!?
さて、この通行禁止が弾丸タクシーと関わりがあるのです。お酒を飲んで十二時以内に家に帰らないと外泊になるので、日本より恐妻家の韓国の旦那衆にとって外泊はご法度です。
金浦空港近くの禾谷洞ファゴクドンに住む人は、だいたいソウル市庁前に十一時四十五分までに着けば、タクシーが約七、八キロの道のりを十分で走ります。といっても、一人で乗るのではなく同じ方面の客四人が集まったら出発ですので、走り出すまでの時間を計算しないと遅れてしまいます。方向が同じでも細い道まで入ってくれませんので、降りてから家まで歩く時間も頭に入れないと、近くの旅館に入り家に電話で長々と弁明しなくてはならない事態に陥ります。
チョンアルテクシの運転手は、乗せた四人からそれぞれ正規のメーター料金を取るわけですから、普通の稼ぎの四倍になりおいしい臨時収入になりますが、違反したら罰金を取られる危険との隣り合わせですので、運転するときは否が応でもアクセルを踏みっぱなしになります。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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