しかし大統領や大臣など公職に就きたい人は、この兵役の問題がネックになることがよくあります。
ある高名な与党の大統領候補はその能力にもかかわらず息子の兵役逃れ疑惑で落選しました。また兵役に行かず大臣になれなかった人はたくさんいます。
北朝鮮といまだに戦時状況下にある韓国では兵役を廃止しようという議論は皆無です。韓国の男性であれば誰もが行かざるを得ない軍隊について知らないと、韓国人と本当の友達にはなれません。
なぜなら韓国人は、酒の席に集まると各自の軍隊経験をまくし立てるからです。私も韓国人になろうと(書類上の国籍でなく)努力しましたが、日本育ちで軍隊について教育を受けてないので話の輪に入ることができず疎外感を覚えていました。
旅団や軍団の規模、歩兵と砲兵の意味もわからず恥をかいたこともありました。人間つらかった体験は忘れないもので、その体験を話したがるのが人情です。ですからこの軍隊の話題から入るのが韓国人と親しくなる近道です。
そして韓国人が上からの命令を迅速に行うのも軍隊での経験であり、不可能でも可能にする根性も軍隊体験から来たものです。韓国戦争を経て六十年、ここまで発展したのも一糸乱れぬ統率された軍隊経験が下支えになったからです。韓国の男性タレントがシャキッとしているのも軍隊でしごかれたからです。
日本の男性が韓国のように軍隊経験をしていたら草食動物化していなかったかもしれません。といっても、軍隊を礼賛するつもりは毛頭ありません。不条理な命令でも反対できず、良心を曲げてまで命令に従わざるを得ないことや暴力が支配する雰囲気を肯定するつもりはありませんが、国であれ家族であれ「守る」という気持ちが軍隊で育まれたのもまた事実です。
文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)
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