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韓国亡命の前北朝鮮公使 正男氏殺害事件の背景を説明
【ソウル聯合ニュース】前駐英北朝鮮公使で韓国に亡命したテ・ヨンホ氏は4日、情報機関・国家情報院傘下の国家安保戦略研究院で聯合ニュースのインタビューに応じ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件について語った。 テ氏は故金正日(キム・ジョンイル)総書記が3番目の夫人である高英姫(コ・ヨンヒ)氏との間に金正哲(キム・ジョンチョル)氏、正恩氏、金与正(キム・ヨジョン)氏をもうけ、世間から隠すためにスイスに送ったとした上で、正恩氏は自身が隠し子であるため、誰かを処刑する際にちゅうちょや不安がないとの見解を示した。今年、満33歳とされる正恩氏は1998年から2000年にかけてスイスで過ごした。 テ氏は「人間は幼いころから一緒に暮らすことで連帯意識ができ、家族という概念が形成される」とした上で、「だが金正恩は金正日と異なり、一族や親戚に対する連帯意識がなく、ある瞬間に空から落ちてきた存在のようなもの」との見解を示した。 正日氏が叔父にあたる金英柱(キム・ヨンジュ)氏を地方に送り、異母弟の金平一(キム・ピョンイル)氏を欧州に留めるなど、血縁者を排除はしても処刑していないのに対し、正恩氏が異母兄の正男氏を容赦なく暗殺したのは連帯意識の欠如と指摘した。 テ氏はまた、正恩氏にとって、自身が故金日成(キム・イルソン)主席の直系の「白頭血統」であることを北朝鮮住民や世界に印象づけるためには正男氏の存在をなくすことが非常に重要だったと強調した。 北朝鮮は今年8月の「白頭山偉人称賛大会」をはじめ金日成主席、金正日総書記、金正恩委員長をたたえる大規模な行事を多数開催し、権力継承の正統性を強調する予定だが、そのためには正男氏の存在は障害物になっていたとの指摘だ。 テ氏は「北の体制は金正恩の長期政権に少しでも障害になったり、脅威の要素になったりしたものは、無条件にすべて粛清し、除去する」とし、「そのように何もためらわないのが北の体制の特徴」と指摘した。 また北朝鮮はこれまでにも大韓航空機爆破事件やミャンマー(旧ビルマ)ラングーン爆弾テロ事件など、多くのテロを実行しているが、テロ実行により国際社会から批判を受けることよりも、北朝鮮体制の長期的な安全を確保することが重要と考えていると解説した。 また「海外での外国人や韓国人に対するテロは、(北朝鮮軍対外工作機関の)偵察総局が担当するが、海外にいる北朝鮮住民に対する処分は国家保衛省(秘密警察)が行う」として、正男氏殺害を主導したのは、国家保衛省である可能性を指摘した。 金元弘(キム・ウォンホン)前国家保衛相が現在軟禁状態にあることなどから、同省による犯行は難しいとの指摘については、北朝鮮では各部署のトップが知らないことが実行される場合がとても多いとした上で、金氏が軟禁されているとしても同省の事業は滞りなく進められるとみる必要があると述べた。 北朝鮮が先ごろ中国に李吉聖(リ・ギルソン)外務次官を派遣した背景については、中朝関係を改善するとともに、正男氏殺害の背後には韓米がいると主張する目的があると予想した。また正男氏の殺害に化学兵器が使用されたことで、北朝鮮に対する新たな制裁を求める声が国際社会で高まる中、国連安全保障理事会の常任理事国である中国に協力を求める必要もあると指摘した。