【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と親友の崔順実(チェ・スンシル)被告の疑惑を調べてきた特別検察官の捜査チームは6日、朴大統領が崔被告と共謀し、サムスングループから約430億ウォン(約42億円)の賄賂を受け取った容疑を確認したとする捜査結果を発表した。 朴大統領が2015年、李在鎔(
イ・ジェヨン)サムスン電子副会長のグループ承継のために不可欠だったサムスン物産と第一毛織の合併を支援するよう指示するなど、李氏の経営権承継が円滑に行われるよう全面的に支援し、サムスングループはその見返りとして、崔被告が実質支配した文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」と崔被告一家に計約430億ウォンの賄賂を提供したと判断した。 また、朴大統領が崔被告の紹介で医師免許を持っていない数人から違法な医療行為を受け、公式の諮問医ではない医師から診療を受けるなど、国家元首の健康を管理する青瓦台(大統領府)の医療システムが崩壊していたと結論付けた。 崔被告一家の資産は崔被告本人の228億ウォンなど、計約2700億ウォンに上ることを確認した。ただ、崔被告の隠し資産や不正蓄財に関しては解明できなかった。◇朴大統領は収賄の容疑者 捜査チームはサムスンが崔被告と娘のチョン・ユラ容疑者が所有するドイツの会社「コレスポーツ」(現ビデックスポーツ)とコンサルティング契約を結んだ213億ウォンと、ミル・Kスポーツ財団、「韓国冬季スポーツ英才センター」に拠出・寄付した計約220億ウォンを賄賂と判断した。 また、朴政権に批判的な芸術家や俳優ら文化・芸術界関係者をリストアップし、政府の支援対象から外したとされる「ブラックリスト」をめぐる疑惑について、報告書で「(当時の文化体育観光部体育局長)盧泰剛(ノ・テガン)氏の退職強要を含むブラックリスト関連の職権乱用権利行使妨害など、文化体育観光部室長らに対する辞職強要などの疑惑を捜査する過程で大統領の関連容疑を確認した」とし、朴大統領の関与を明記した。 このほか、崔被告の要請を受け、KEBハナ銀行のイ・サンファ本部長の昇進に圧力を加えたとして、職権乱用の罪で新たに起訴された崔被告の共犯として朴大統領を立件した。 大統領は在職中に刑事訴追されず、起訴は不可能のため、検察に捜査を引き継ぐ。◇未完成のセウォル号当日の「7時間」捜査 旅客船「セウォル号」沈没事故が起きた14年4月16日、朴大統領の動静がはっきりとしない「空白の7時間」に関しては明確な結論を出せなかった。ただ、整形外科の
キム・ヨンジェ院長、「注射おばさん」など、青瓦台の公式医療陣ではない人物らが崔被告の紹介で青瓦台を出入りし、朴大統領を診療したことは明らかにした。 だが、朴大統領が事故当日に美容施術を受けていたとの疑惑と関連し、キム氏らは当時青瓦台を訪れていないとした。 捜査チームは事故前日の15日夕から16日午前10時までの朴大統領の動静が確認できないとした。 また、ほぼ毎朝、青瓦台で朴大統領の髪をセットしていた美容師の姉妹が16日は大統領側の要請で青瓦台を訪れていないことにも注目した。姉妹は同日午後2時に突然の連絡を受け、大統領の髪をセットするため青瓦台に入った。 捜査チームは「大統領の対面聴取、青瓦台の家宅捜索が実現できず、7時間の具体的な動静を明らかにすることに限界があった」として、「特定の人物だけが知っている非公式の医療従事者が大統領を診療し、その見返りで特別な支援を受けていたとすれば、重大な違法」と強調した。◇崔被告の不正蓄財疑惑は解明できず 崔被告一家が数兆ウォンに上る資産を不正に蓄積していたとの疑惑についても調べたが、時間不足などにより、解明には至らなかった。 特別捜査官7人が崔被告一家の70人(生存64人、死亡6人)の資産を追跡した結果、崔被告一家の資産は計2730億ウォン、崔被告本人のものは約228億ウォンと確認した。関連捜査は検察に引き継ぐ方針だ。 崔被告がサムスンから直接受け取った賄賂と判断した77億9735万ウォンは裁判所に追徴保全を請求した。崔被告に有罪が言い渡される場合、不動産などの資産を国庫に返還させる。 一方、チョン容疑者の梨花女子大への不正入学や入学後の単位の不正取得に当時の崔京姫(チェ・ギョンヒ)総長らが関与したとして起訴したほか、教育部が同大学に特別支援を行ったことも確認した。 捜査チームは禹柄宇(ウ・ビョンウ)元青瓦台民政首席秘書官の職権乱用疑惑やデンマークから帰国していないチョン容疑者の容疑、青瓦台と全国経済人連合会(全経連)の保守団体支援疑惑については結論を出せず、検察に捜査を引き継ぐ。 朴大統領と青瓦台は関連疑惑や容疑を全面的に否認しており、法廷で激しい攻防が展開されるとみられる。
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