TOO の最新ニュースまとめ
◇南北首脳が3回会談 「朝鮮半島平和プロセス」加速
文大統領と金委員長が今年3回開いた南北首脳会談は、世界の視線を朝鮮半島に集めた。朝鮮半島情勢は昨年末まで悪化の一途をたどっていたが、南北は平昌冬季五輪への北朝鮮の参加を機に対話を再開。両首脳は4月27日、軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で歴史的な初の会談を開いた。完全な非核化や南北関係の画期的な改善などの合意事項を盛り込んだ「板門店宣言」を採択し、南北関係の新たな里程標を築いた。全世界に生中継された両首脳の軍事境界線を挟んでの握手と板門店の「徒歩の橋」での対話は、世界史に残る名場面となった。
それから1か月後の5月26日、両首脳は板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で2回目の会談を行った。6月12日にシンガポールでの朝米(米朝)首脳会談を控え、金委員長が朝米の「仲介者」役である文大統領に協議を要請した。急きょ開かれたため事前予告はなく、開催は後から発表された。両首脳は、朝鮮半島の非核化と恒久的な平和体制構築に向けて協力する意思を改めて確認した。
文大統領と金委員長の3回目の首脳会談は9月18~20日に北朝鮮・平壌で行われた。北朝鮮北西部・東倉里にあるミサイルエンジン実験場の永久的な廃棄など非核化に関する細かい内容を盛り込んだ「平壌共同宣言」と、軍事分野の合意書が採択された。金委員長が「近いうちに」ソウルを訪問することも明記し、南北分断後で初となるソウルでの南北首脳会談を予告した。首脳会談での合意に基づき、非武装地帯(DMZ)内の監視所(GP)の撤去や南北間の鉄道・道路連結に向けた調査などが進められた。
◇文化界から政界まで 社会を揺さぶった「Me too」運動
欧米で始まったセクハラや性的暴力の告発運動「Me too(私も)」が韓国社会を強烈に揺さぶり、韓国になお残る家父長的で権威的な風潮に一石を投じた。女性たちは勇気を振り絞って一人、二人と口を開き、加害者と指摘された人々は一瞬にして社会的地位を失うなどした。
韓国でのMe too運動の口火を切ったのは、今年1月の女性検事によるセクハラ告発だった。これに触発され、国会議員から会社員、学生までもが忘れたい過去の経験を打ち明けた。
文化界では、女性詩人の崔泳美(チェ・ヨンミ)氏が、かつてノーベル文学賞候補にも名前が挙がった詩人の高銀(コ・ウン)氏による自身や後輩へのセクハラを暗示する詩を発表し、社会に衝撃を与えた。演劇界の大物演出家、李潤沢(イ・ユンテク)氏は複数の劇団員の女性から性的暴力を告発され、逮捕された。
映画界では俳優のオ・ダルス氏やチョ・ジェヒョン氏、キム・ギドク監督に関する告発が起きた。教え子からの告発により強制わいせつ容疑で捜査を受けていた元大学教授で俳優のチョ・ミンギ氏は3月、首をつって死んでいるのが見つかった。
また、次期大統領候補にも挙げられた前忠清南道知事の安熙正(アン・ヒジョン)氏が秘書だった女性から性的暴行を告発され、知事辞職に追い込まれた。Me too運動は性的暴力への関心を喚起し、女性の権利を高めたと評価されるが、その後、社会の一部では極端な女性嫌悪と男性嫌悪の現象も起きた。
◇労働時間が大幅短縮 週52時間勤務制始まる
法改正に伴い7月から、従業員300人以上の企業などで週7日間の労働時間の上限がそれまでの68時間から52時間に短縮された。
長時間労働が日常化している韓国社会がワーク・ライフ・バランスの向上へ重要な一歩を踏み出したと評価されているが、滑り出しは順調にいかなかった。経営側は週52時間勤務制度を導入する準備が整っていないとして猶予を求め、政府は今年末まで企業が同制度に違反しても処罰を免れることができるよう措置を取った。
労働時間の短縮を巡ってはさまざまな意見があるものの、これ以上「過労社会」を放置すべきでないとの認識が広がっていることから、週52時間勤務制は最終的には定着するとの楽観論が優勢だ。同制度は来年以降、適用対象が段階的に拡大される。
◇危機の司法府 「司法行政権乱用」疑惑で捜査のメス
18年は司法府の歴史に汚点を残した年として記録されそうだ。梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院長(最高裁長官)の在任時の司法府による司法行政権乱用疑惑の核心は、裁判所の上層部が望むものを得るため政権に有利に判決を歪曲(わいきょく)する「裏取引」をしたというものだ。日本による植民地時代に強制徴用された被害者らが日本企業を相手取り損害賠償を求めた訴訟の判決を故意に先送りした疑惑がその代表例だ。朴槿恵(パク・クネ)前政権時に青瓦台(大統領府)と梁氏率いる司法府側がこれに関して緊密に協力した形跡が捜査で見つかった。
検察は6月から司法行政権の乱用疑惑を巡り広範囲な捜査を展開。12月には、徴用訴訟の判決を先送りしたとして職権乱用などの疑いで元大法官(最高裁判事)の朴炳大(パク・ビョンデ)氏と高永ハン(コ・ヨンハン)氏の逮捕状を請求した。請求は棄却され、両氏は逮捕を免れたものの、大法官経験者として初めて令状審査を受けるという不名誉を被った。梁承泰氏に対しても、職権乱用での起訴は免れないとの見方がある。
◇社会の怒りを招いたオーナーや企業家のパワハラ
4月、大韓航空を中核とする財閥・韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長の次女である趙顕ミン(チョ・ヒョンミン)大韓航空専務(当時)のパワハラが大きな物議を醸した。会議中に腹を立てて広告代理店の社員に暴言を吐き、コップの水をかけたというものだった。これを機に、これまで沈黙していた大韓航空の社員らが趙亮鎬氏の妻の李明姫(イ・ミョンヒ)氏による常習的な暴言・暴行など韓進一家によるパワハラ行為の暴露に乗り出した。
その後、パワハラにとどまらず韓進一家の横領や背任、密輸疑惑なども次々と浮上。これは警察や関税庁、国税庁、公正取引委員会などの全方位的な捜査・調査を招いた。国土交通部は大韓航空子会社の格安航空会社(LCC)、ジンエアーが米国籍を持つ趙顕ミン氏を6年にわたり違法に登記理事(取締役に相当)に就かせていたことを確認し、ジンエアーの事業免許取り消しまで検討した。
10月にはIT(情報技術)関連企業、韓国未来技術のヤン・ジンホ会長による常習的な暴行と猟奇的な振る舞いが発覚し、人々をいきり立たせた。オフィスで元社員を平手打ちしたり、社員に弓矢で鶏を射るよう強要したりする映像が公開され、ヤン氏は暴行などの容疑で逮捕された。
◇世界を沸かせたBTS K―POPブーム盛り上げる
18年は韓国の人気グループ、BTS(防弾少年団)が世界のK―POPブームを盛り上げた。BTSは9月初めから約50日かけて米国、カナダ、英国、オランダ、ドイツ、フランスの6カ国・11都市で計22回のワールドツアー公演を開催。北米と欧州だけで32万人の観客を集めた。
ツアー中にはABCやNBCなど米主要テレビ局の番組に出演した。英BBCなど欧州の大手メディアは「21世紀のビートルズ」などとBTSへの称賛を惜しまなかった。ツアーでは11月に東京ドーム公演も開催し、2日間で計10万人の観客を集めた。
9月にはリーダーのRMがグループを代表しニューヨークの国連本部で開かれた国連児童基金(ユニセフ)の行事で演説した。BTSのヒット曲を取り上げながら「本当の愛は自分を愛することから。自分自身を愛し、声を上げよう」とのメッセージを伝えた。演説後、交流サイト(SNS)上にはBTSの音楽とメッセージに勇気をもらったという各国ファンからのコメントが相次いだ。
BTS人気は世界の多くの若者が韓国文化全般に深い関心を持つきっかけになった。その功績を認められ、BTSは10月、韓国政府から五つある文化勲章のうち5番目の「花冠文化勲章」を受章した。
◇李明博元大統領を逮捕・起訴 巨額収賄罪など
17年が朴槿恵前政権時の積弊(積み重なった弊害)を清算した年だったとすれば、18年は朴政権の前の李明博(イ・ミョンバク)元政権の不正腐敗を断罪した年といえる。
検察は李氏の側近らに対する捜査を経て、3月に李明博元大統領を収賄や横領などの容疑で逮捕。4月に起訴した。李氏は自動車部品会社「ダース」を実質的に所有して約350億ウォン(約35億円)を横領した罪、ダースの米国での訴訟費用をサムスン電子に肩代わりさせるなどして約110億ウォンを受け取った収賄罪などに問われ、一審で無罪を主張。だが、裁判所はダースの所有者を李氏と認定し、懲役15年などを言い渡した。李氏は判決を不服とし、現在、控訴審の公判が行われている。
◇ソウルの住宅価格急騰 政府が規制対策
18年はソウルの住宅価格が急騰した。ソウルのマンション価格は1月から11月にかけて昨年末比8.22%上がり、上昇率は昨年(4.69%)の2倍近くに達した。蔚山や慶尚南道、忠清南道など地方のマンション価格が1~11月に平均2.49%下落したのと比べると、ソウルのマンション値上がりは尋常ではないと指摘される。
住宅価格の急騰を受け、政府は9月、複数住宅所有者に対する総合不動産税の税率を引き上げ、1戸以上の住宅所有者に対する新規融資を禁じるなどの規制対策を発表した。
◇地方選で与党が圧勝 朝鮮半島平和ムードが追い風
6月13日に実施された統一地方選は進歩(革新)系与党「共に民主党」の圧勝に終わり、保守陣営に打撃を与えた。共に民主党は17か所の広域自治体の首長選でソウル市や仁川市、京畿道、釜山市など14か所を押さえた。一方、保守系の最大野党「自由韓国党」は大邱、慶尚北道の2か所での勝利にとどまる惨敗となった。
地方選と同時に実施された国会議員の再・補欠選でも、共に民主党は全国の12選挙区のうち、候補を擁立しなかった1選挙区を除く11選挙区で全勝した。南北・朝米首脳会談の開催で盛り上がった朝鮮半島平和ムードが与党に追い風になったとみられている。
◇韓国で30年ぶりの五輪 北朝鮮も参加
平昌冬季五輪が2月9~25日に北東部・江原道の平昌、江陵、旌善で開催された。1988年のソウル夏季五輪以来、30年ぶりに自国で開催された2度目の五輪を韓国は成功裏に終え、称賛を得た。
北朝鮮の平昌五輪参加は朝鮮半島に漂っていた緊張感を和らげ、その後の3回の南北首脳会談へとつながる一因となった。南北は開会式で合同入場し、アイスホッケー女子では合同チームを結成。世界に平和のメッセージを発信した。
韓国は昔から強いスピードスケート・ショートトラックやスピードスケートだけでなく、スケルトンやスノーボードでもメダルを獲得。金メダル5個、銀8個、銅4個で、アジア国家で最高となる総合7位の成績を収めた。
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