韓国映画「PMC ザ・バンカー」のキャスト、公開日、あらすじ
韓国特殊部隊の元兵士で、今は民間軍事会社(PMC)の傭兵として、作戦成功率100%を誇る隊長エイハブ役をハ・ジョンウ、北朝鮮のエリート医師ユン・ジイ役を「パラサイト 半地下の家族」のイ・ソンギュンといった韓国映画界きっての演技派2人が初共演し、白熱の演技バトルを繰り広げるのも見どころの一つ。
2月28日(金)の公開に先駆け、キム・ビョンウ監督が撮影秘話を通して、キャスト、作品の魅力について語ってくれた。
Q.前作「テロ、ライブ」公開時に、ハ・ジョンウさんから地下空間の広大なバンカーというアイディアの提案があったそうですが、そこから映画にしようと思ったのはどうしてでしょうか?
次の作品では、どんなものを作ろうかといろいろなアイディアのやりとりをしていた中で、そういう提案もあったので、私がそれをキャッチしたという感じになると思います。ちょうど要人を拉致するストーリーを構想していたので、地下の大きな空間であれば、自分なりに上手く作れそうだなと。むしろ、オープンな開けた空間よりも限られた空間での展開の方が、上手く作れるんじゃないかなと考え、少しずつ作業を進めて作り上げました。
Q.ということは、「テロ、ライブ」のときから、次回もハ・ジョンウさんと作品を作ろうと?
そうですね。逆に、そう思わない人がいるんでしょうか?(笑) 一度、作品をご一緒した人であれば、また一緒にやりたいと考えると思います。
Q.監督から見たハ・ジョンウさんの俳優としての魅力というと?
誠実さじゃないかと思います。演技がどうかという前に、もちろん演技は上手いですが、その前に誠実であるということです。作品に誠実に向き合う姿勢、そして、時間をかけて練習を重ねるという点、そういう部分が監督の立場からみると、大きな魅力です。ルックスもステキですが、ルックス以上に内面的な部分がカッコいいと思います。
Q.具体的に誠実だと感じたエピソードがあれば教えてください。
撮影に入る前に会ったとき、ハ・ジョンウさんの台本を見たら、もうすでにあちこちラインが引いてあるし、手垢がつくほど読み込んでいたんです。実際、本人がどういう練習をしているか、私がその場に行って、見ることはできないじゃないですか。でも、その台本を見たとき、どれだけこの作品に時間をさいてきたか、すぐに分かったんです。そういう部分をとっても、誠実だなと感じました。
Q.今回の作品で、ハ・ジョンウさんはスカジャン、カーゴパンツに高級時計を身に着け、腕にはタトゥーが入った姿で、韓国公開時、「ダーティー・セクシーなキャプテン」と評されていましたが、エイハブというキャラクターを作るのに、ハ・ジョンウさんとはどのような話をされたのでしょうか?
ルックス的な部分も重要ではあるんですが、それよりもキャラクターの内面が、結局はこの映画の核となるので、エイハブという人物がどんなキャラクターで、どんなビハインドストーリーを持っているか、という部分をどのように観客に分かりやすく伝えていけるかをハ・ジョンウさんとはよく話しました。エイハブは作戦遂行中の傭兵で、彼自身の感情を表現できるシーンが少ないので、そんな中でも、彼の人柄が分かるようにどう表現していくか、ということに気を遣いました。
Q.そして、もう一人の主人公として、「テロ、ライブ」に出演された女優チョン・ヘジンさんの夫でもある俳優イ・ソンギュンさんが、北朝鮮のエリート医師ユン・ジイ役として出演されましたが、イ・ソンギュンさんを起用した理由を教えてください。
本当はチョン・ヘジンさんにぜひ出演してほしかったんですけど、ユン・ジイが男性役だったので、ご主人の方に(笑)。というのは冗談で、偶然イ・ソンギュンさんになりました。イ・ソンギュンさんとチョン・ヘジンさんがご夫婦だったから、ということは全く関係ないです。ユン・ジイというキャラクターを映画の中で説明する時間がなかったので、話の流れの中で登場し、どんな人物かを短い時間で分からせる演技力を持つ俳優として、イ・ソンギュンさんが適しているだろう、と私をはじめ、制作陣も考え、キャスティングしました。ただ、チョン・ヘジンさんが、イ・ソンギュンさんがハ・ジョンウさんやこの作品に馴染んでいく過程において、影の助力者になっていたのではないかと思います。
Q.さきほど、ハ・ジョンウさんは誠実な俳優だとおっしゃっていましたが、イ・ソンギュンさんはどんな魅力を持つ俳優ですか?
例えて言うなら、近所の勉強のよくできるお兄さんみたいな印象を受けました。撮影中も、タメになるアイディアを何気に投げかけてくれたり、撮影中、解決策が見当たらなく、悩んでいたとき、セリフを少し直して、こんなのはどうかと見せてくれたりしたこともあって、それがある意味驚きでもあり、本当に助けられました。
Q.役作りのため、ハ・ジョンウさんは1か月以上、アメリカに滞在され、スラング混じりの英語を、イ・ソンギュンさんは北朝鮮の方言を習得されたそうですが、監督からはどのようなリクエストをされましたか?
2人とも自分で考えてやってくれると信じていたので、私の方から特に言うことはありませんでした(笑)。ハ・ジョンウさんはセリフのほとんどが英語で、英語が大きなハードルになると分かっていたので、本人もマスターしなくてはいけないと事前に言っていたし、イ・ソンギュンさんもしかりで、北朝鮮の方言を駆使するのが大切な要素になるので、2人とも自分で考えて練習、準備をしてくださいました。
Q.ストイックに役作りをされる2人の俳優をそばで見ながらどう感じたのか、また、驚かされたことなどがあれば教えてください。
2人が本当にしっかり準備をしてくださったことが分かっていたので、2人の演技を見ながら、ある程度の予想はしていましたが、それ以上のものを見せてくれたときは驚きもありました。特にアクションシーンでも、建物が崩れてくるという状況で、埃まみれになって、身体的にやりづらい状況の中でも、エネルギーを発散させながら、それぞれのキャラクターをしっかり表現していたのが印象的でした。アクションシーン、銃撃戦のシーンが多かったので、そんな中でもセリフをちゃんと伝えること、人物の感情をしっかり表現する姿が、さすがだなと思いました。
Q.地下バンカーという空間で、ハ・ジョンウさん、イ・ソンギュンさん以外は主にハリウッド俳優たちとの撮影となりましたが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
すっきりしない息苦しさはありました(笑)。地下空間という設定なので、太陽の光も当たらないまま、埃まみれの現場で数か月を過ごしたので、その間、まともに太陽の光に当たっていなかったんじゃないかなと思います。ただ、個人的には約5年ぶりの映画ということもあり、現場に行くのが楽しく、スタッフ、キャストの皆さんと和気あいあいと撮影できました。
Q.映画は一人称視点のP.O.Vカメラやドローンを取り入れたカメラワークで、サバイバルゲームのような臨場感にあふれ、最初から怒涛の展開が繰り広げられますが、特に撮影でこだわった部分はどこでしょうか?
観客がこの映画を見ているとき、自分も地下バンカーにいるような、エイハブのすぐ隣に座っているような感覚になってもらう、ということを重視しました。そのためにカメラの動き、編集、音楽の全てを細かく考え、作りました。
Q.監督自身、特に思い入れの強い、好きなシーンを挙げるとすると?
私的にはオープニングのシーンです。どういう状況なのかということを紹介していくシーンで、その状況も面白かったかなと思います。あと、愛着のあるシーンはクライマックスの落下傘で落ちていくスカイアクションです。そのシーンを通して、人物の感情を表現するという部分もそうだし、技術的に自分たちがクリアすべき難易度の高いものであったということ、そして、極限の臨場感が必要とされたシーンでもあるので愛着があります。
Q.では、最後に日本の映画ファンにメッセージをお願いします。
この映画は皆さんが思っている以上に、強度が高いと感じるかもしれません。ですから、映画を見る前に、皆さん自身が充電し、リラックスした状態で、もしコートを着ていたらコートを脱いで、お手洗いに行ってきて、ラクに見ていただければ十分に楽しんでいただけると思います。そして、乗り物酔いなど酔いやすい方は後ろの席に座ってご覧ください。
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