ハンナラ党の李明博(イ・ミョンバク)前ソウル市長が大統領選公約として掲げる「朝鮮半島大運河」に関連し、政府が作成した再検討報告書の歪曲(わいきょく)・変造疑惑が浮上するなか、建設交通部は19日、最初に青瓦台(大統領府)に報告したという9ページ構成の「京釜運河再検討中間報告」原本を公開した。
 この資料は、韓国水資源公社が1998年に実施した大運河妥当性調査結果を、同公社と国土研究院、韓国建設技術研究院の3機関かなる作業班が今年2~5月に再検討した結果をまとめたもの。建設部は当初、政治的に敏感な事項だとして公開を拒否していたが、国会建設交通委員会所属のハンナラ党議員らが建設交通部に抗議するなど公開への圧力が高まったことから、中央選挙管理委員会の有権解釈を受け公開に踏み切った。

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 建設交通部の水資源企画官室が作成したとされるこの報告書は、最近の動向、再検討中間結果、主要争点検討の3部門に分かれている。最近の動向では、李前市長が昨年6月に大運河を第1公約に掲げたプロセスやその後の広報、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が2月に開かれたウリ党指導部との夕食会で「運河が韓国の現実に見合っているか」と指摘したという内容など、政界の反応や対策をまとめている。再検討中間結果では、事業区間や主要施設など大運河の基本計画を紹介し▼総事業費が当初の10兆ウォンから16兆8235億ウォンに増加▼骨材販売収益が800億ウォンから5000億ウォンに増加▼ソウル~釜山間の運河輸送時間が62時間から48時間に短縮▼物量が1800万トンから500万トンに減少▼上水源の水質汚染など環境破壊への懸念――などが指摘されている。また、費用便益比率は0.16と算出された。1以上になれば事業性があると判断される。

 報告書は総合再検討の結果として、経済性や環境性を考慮すると妥当性は不足していると結論付けている。さらに、「作業班の再検討は制限的なものであり、結果公開は慎重に行うべき」との但し書きがあった。

 外部に流出した37ページ構成の報告書には、事業費は18兆3000億ウォン、輸送時間は46時間と記されていた。「公開慎重」は削除され、妥当性不足という記述は残されていた。

 公開された報告書に対し李前市長陣営は、「偽造・変造工作疑惑を回避するため、建設交通部が歪曲・変造された報告書に形式を合わせ急ぎ作成した可能性は高い」と疑惑を提起した。その根拠として、前日の建設交通委員会答弁で建設交通部の李庸燮(イ・ヨンソプ)長官が「見たことがない」と否認した、「最近の動向」や「主要争点検討」部分がそのまま盛り込まれている点を挙げた。また、政府の文書ではあまり使用しない「MB」(李前ソウル市長)「VIP」(大統領)などの用語が用いられていることから、当初の政府再検討報告書ではない可能性が高いと主張している。


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