【ソウル聯合ニュース】韓国プロ野球・SKワイバーンズの運営母体のSKグループが新世界グループに球団を売却する。SKと新世界グループ傘下のスーパー大手、イーマートは26日、売却に関する了解覚書を結んでおり、来月23日、本契約を締結する。プロ野球ファンや各球団関係者などの関心は、以前から球団経営に意欲を示してきた新世界グループより、財務基盤が堅実ながら球団を売却しようとするSKグループの思惑に集まっている。 球団の100%の株式を保有するSKテレコムは売却推進の理由を説明していない。球団への通知もニュースの後で、球団は「パニック状態」に陥った。 プロ野球界のこれまでの球団売却をみると、ほとんどが母体企業の財政難が理由だった。SKワイバーンズは2000年、経営危機に陥った繊維メーカーのサンバンウル傘下のサンパンウル・レイダースの選手を受け入れて創設され、韓国シリーズで4回の優勝を果たした。SKグループの財務状態に何ら問題がないだけに、名門球団の売却は極めて異例と受け止められている。 大企業はスポーツを通じて社会に収益を還元し、会社のPRに役立てたり事業との相乗効果を図ったりする。プロ野球の球団経営は母体企業による巨額の支援が欠かせないにもかかわらず、球団オーナーの並々ならぬ野球愛に支えられ、グループのシンボル的存在にもなってきた。球団を維持できない場合は企業経営自体が危ういと見られかねず、また地元ファンと培ってきた関係なども考えると簡単には球団を手放せないという事情もある。 一方、SKによる球団売却の動きは、金銭的な問題にはかかわりなく、グループの方向性にそぐわなかったり事業推進の実効性が低下したりする場合には、いつでも球団経営から手を引くという新たな基準を提示したといえる。これは新型コロナウイルス感染症のあおりで事業環境が厳しさを増す中、球団経営の重荷から逃れたい企業の便乗につながる可能性もある。 球団買収に乗り出した新世界グループのイーマートに対しては、期待と懸念が入り混じる。大手スーパーの強みを生かし、球場を舞台に新たなマーケティングを展開すると予想される。それは他球団を刺激する効果もありそうだ。 その一方で、イーマートの筆頭株主である鄭溶鎮(チョン・ヨンジン)新世界グループ副会長の経営スタイルと球団運営はマッチしないという見方も少なくない。鄭氏は新事業でも成長が見込めない場合は早々に整理してきた。小売り業界では消費トレンドを見極めながら収益性の低い事業を整理するのは一般的なことだ。これに対し球団運営は、地元への浸透を図りながら何年も支援し、じっくり成果を待つことが求められる。
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