(画像提供:wowkorea)
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燃料電池車(FCV)市場でしのぎを削る韓国の現代(HYUNDAI、ヒョンデ=ヒュンダイ)自動車と日本のトヨタ自動車。エネルギー市場専門の韓国の調査会社、SNEリサーチによると、今年1~3月期のFCV世界販売台数は、トヨタが約2000台で首位、現代が約1800台で2位だった。

しかし、昨年1年間の世界のFCV販売台数では、現代が約6500台を売り上げ、市場シェア69%でトップ。約1600台を売り上げたトヨタを大きく引き離す結果を残している。

燃料電池車(FCV)市場のシェアをめぐって、両社はこれまで熾烈(しれつ)な首位争奪戦を繰り広げてきた。

現代のFCV市場への挑戦は2013年、世界で初となるFCVの量産モデル「ツーソンixフューエル・セル」を発売したことにさかのぼる。しかし、1台1億5000万ウォン(約1400万円)と高額だったことから販売台数は伸びず苦戦。結局、政府や自治体向けに数百台を売り上げるに留まった。

翌2014年の12月には、トヨタがセダンタイプのFCV「MIRAI(ミライ)」を、「ツーソン」の約半分の価格である723万円で発売。その後の1か月で国内受注台数が約1500台に達するなど、スタートから好調な滑り出しを見せ、形勢は逆転。FCV市場の主導権を現代から奪い取った。

その後、現代は「トヨタ越え」を目指して2018年3月にSUV(スポーツ用多目的車)タイプのFCV「NEXO(ネッソ=ネクソ)」を発売し、形勢は再び逆転した。「NEXO」は昨年7月までに世界販売台数が1万台を突破。昨年は現代がFCV世界シェアの約7割を獲得し、2位のトヨタを引き離した。

これによりFCV市場において現代の独走が続くかと思われたが、今年に入って市場の勢力図が急変しているという。それを裏付けたのが今回発表された前述の今年1~3月期のFCV世界販売台数だ。シェア49%を獲得し、トップに立ったのはトヨタ。販売台数は前年同期(300台)の6倍以上に増加した。

トヨタは昨年12月に新型「MIRAI」を発売。「感性に訴えるデザイン」、「唯一無二の走り」、「一歩先を行くあふれる先進性」、「距離を気にしない安心の走行」の4つを開発コンセプトに掲げ、航続距離や環境性能、生産能力などを初代モデルよりも向上させた。

航続距離は従来の約30%増となる約850キロに延長。「NEXO」の航続距離約820キロを上回る。また、水素搭載量は5.6キロと初代モデルに比べ約20%を増やしたほか、燃費性能も約10%向上させた。

今後も両社の熾烈な販売競争は続きそうだ。現代は18年に「FCEV Vision 2030」を発表し、2030年までに年間50万台規模のFCVの国内生産体制を構築する計画を打ち出している。まず2023年には「NEXO」の第2世代の発売を予定している。

また、来年には2009年に撤退した日本市場に再参入する。FCVと電気自動車(EV)に特化して事業展開することにしており、「NEXO」を日本市場に投入し、トヨタに挑戦状を突き付ける。

マーケット調査会社の富士経済は、乗用車を対象としたFCVの世界市場は、2030年度に2019年度比44.7倍の2兆1110億円に拡大すると予測している。

ツートップの現代とトヨタに加え、今後、欧州や中国の自動車メーカーの台頭も予想される。さらに激しくなるであろうFCV市場において、今後、現代とトヨタのシェア争奪も含め、勢力図に変化が起こるのか注目される。

日本の三菱自動車からの技術提供で世界的な自動車メーカーに成長した韓国の現代。今度はホンダやトヨタなど日本企業が作った燃料電池・水素車のマーケットでその技術を競い合おうとしている。日韓関係の現実を象徴しているかのようだ。


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