(画像提供:wowkorea)
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韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)前検察総長が29日、来年3月の大統領選に出馬する意向を表明した。

ユン氏は出馬の意向を示した記者会見で、日韓関係についても言及した。ムン・ジェイン(文在寅)政権の対日政策について「国交を樹立して以降、最も悪化し、回復不可能な程度まで壊れた」と批判。

「外交は実用主義、現実主義に立たなければならない」とした上で「歴史を正確に記憶するため、その真相を明確にする一方、未来世代のため、実用的に協力しなければならない」と述べ、自身が大統領になった場合、日本との関係改善を進める考えを示した。

これまで、大統領選に意欲を示している政治家には「反日色」が強い人物が目立つ中で、ユン氏の対日観は、日韓関係改善に期待が持てる一面もある。

しかし、そう判断するのはまだ早いかもしれない。この日、ユン氏が会見場所に選んだ場所は、ソウルにあるユン・ボンギル(尹奉吉)記念館。ユン・ボンギルは武装系の独立運動家として知られ、1932年に中国・上海の上海虹口公園で手りゅう弾を投げ、日本軍の首脳らを死傷させた「上海天長節爆弾事件」を起こした人物。

この場所を会見場所に選んだ理由について、ユン氏は「ユン・ボンギルの愛国精神をたたえる場所で、私たちの先祖が命を捧げた韓国建国の土台である憲法精神を受け継ぐ意思を国民に示すためだ」と説明した。

ユン氏が日本に対してどのような感情を持っているのかはまだ判断できないが、日韓関係を改善の方向に舵(かじ)を切ることは可能だ。そのためには国際法を熟知し、それを尊重する姿勢が何よりも重要となるが、そこはユン氏が検察総長まで務めた、法曹人であることに期待できるだろうか。

韓国の政治家には法曹界出身者が多い。来年の大統領選挙に出馬の意欲を示している人物でも法曹界出身者はユン氏だけではない。

24日に韓国の世論調査機関「リアルメーター」が発表した大統領候補の支持率で、ユン氏に続く2位につけている革新系執権与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)キョンギド(京畿道)知事は元弁護士。

23日に出馬表明し、ユン氏に強い対抗心を向けるチュ・ミエ(秋美愛)氏は元判事。

保守系最大野党「国民の力」の重鎮で、ユン氏と同じ29日に出馬の意向を表明したホン・ジュンピョ(洪準杓)氏は検事出身だ。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領も弁護士出身であり、ムン大統領が師と仰ぐノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領も元弁護士だ。

そのほかにも、与野党とも、法曹界出身の議員が数多くいる。

しかし、法律に熟知しているはずの人物がこれまで大統領をはじめ、政治家として国政に当たる中で、日韓にまたがる諸問題では国際法違反の状態が続いている。

次期大統領が法曹界出身者だったとしても、そのことが関係改善に直接、有効に作用するとは限らないことはこれまでの日韓関係が証明している。

今、次期大統領候補として支持率1位になっている尹錫悦前検察総長。彼に対する韓国国民の期待は、今の文政権の「ネロナムブル」(私がやればロマンス、他人がやれば不倫)に対する反作用もあるが、根本的には「法治の回復」にある。

「親日有罪、反日無罪」と皮肉られるほど歪んでしまった法治が、韓国人の遵法精神・順法意識を麻痺させていることを分かってほしい。まず、ソウルの日本大使館前の少女像を撤去することから始めるべきである。

国際法を話す必要までもない。2015年の日韓の約束を守ること。それが「法治の放置」から韓国を救う第一歩である。

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