韓国映画「SEOBOK/ソボク」のキャスト、公開日、あらすじ
本作は、永遠の命を巡る壮絶な戦いを描くSFエンターテインメント。死を目の前にした元情報局員ギホンに扮したコン・ユは、よどみないアクションを完璧にこなすと共に、ソボクと出会って変化するギホンの内面を繊細に描き出した。一方、死ぬことのない永遠という時間の中に閉じ込められた人類初のクローン・ソボク役を熱演したパク・ボゴムは、生まれて初めて実験室から出て、真の世界と出会ったソボクの天真らんまんな表情から、自身を狙う勢力に向ける鋭い目つきに至るまで、これまで見たことのない強烈な姿を披露している。
“死ぬことのない”クローンと“死から逃れられない”男という対極の定めを生きる2人が、互いのために宿命に抗い、行き着くクライマックスに涙が止まらない――。そんな『SEOBOK/ソボク』がいよいよ日本でも7月16日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー!そこで、公開を前に、本作のメガホンをとったイ・ヨンジュ監督にリモートインタビューで、ダブル主演を務めたコン・ユとパク・ボゴムの魅力や撮影エピソードなどを聞いた。
Q.イ・ヨンジュ監督の前作「建築学概論」は恋愛映画でした。そこから、人間の生と死を扱った『SEOBOK/ソボク』を制作することになった理由を教えてください。
個人的な理由もありましたし、恋愛映画も人が生きていく中で感じる感情を描くものなので、自分の年齢やいろいろなものが重なって、自然とそういう生と死について関心を持つようなったという理由が一番大きいと思います。
Q.韓国では当初、昨年12月公開予定だったのが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、ことし4月の公開となりました。待っている間はどんなお気持ちだったんでしょうか?
このような未曽有のパンデミックは自分ではどうすることもできないので、ひたすら待つしかなく、“公開できるのか?”と心配になりました。ただ、それは僕だけではなく、去年、今年と映画を撮っている方なら、みんな同じ悩みを抱えているんじゃないでしょうか。幸い、僕は公開できましたが、まだ、公開されていない映画も韓国にはたくさんあります。それは、日本や世界も同じ状況ではないかと思います。昨年、初めて新型コロナウイルスが流行し始めたときは驚いたんですが、受け入れるしかないと腹をくくり、ポストプロダクション作業をするのに、思いもしない形で時間がたくさん与えられたので、それを上手く活用して、いいものにしようと頑張っていました。
Q.主演を務めたコン・ユさんは一度、テーマの難解さから出演オファーを断られたそうですね。
だから、台本を一生懸命書き直し、もっと完成度を高めてから、また見せました。その後、初めてコン・ユさんと会うことができて、会った次の日に「やります」という連絡がきました。
Q.どのように台本を修正されたんですか?
かなり何度も修正を重ねたので、どこをどう直したのか今となっては思い出せないんですが、大幅に何かを変えたということではなくて、セリフも含め、少しずつ完成度を高めていったということですね。ソボクは死なない、日常を超えた存在なのでハリウッド映画だったら、そういう人物が主人公じゃないですか。特別な能力を持った人が主人公の映画はハリウッドではよく見ますが、僕にはそういう存在を見詰めるギホンの視線の方がとても大事だったので、ギホンが主人公でなくてはいけないと考えていました。そういう部分で、バランス的なことを念頭に置きながら、シナリオを練っていきました。あまりにも変えすぎたので、はっきり思い出せませんが(笑)。
Q.監督から見た俳優コン・ユさんの魅力というと?
安定した演技を見せてくれる主演俳優です。主演俳優というのは、単純に演技が上手いだけで務まるものではないんですよ。コン・ユさんは全体的にプロジェクトを監督である僕と一緒に引っ張っていく責任感、そういうのも強い俳優であり、基本的に人柄が素晴らしいです。監督としては、そういう俳優と仕事ができるというのは楽しいと言ってしまうと軽く聞こえてしまいますが、作業をしながら感動のようなものがありました。本当にありがたく、素晴らしい人だなと何度も思いました。この歳になって、いい友達と出会えたなとも思いましたし。それから、演技の面でも安定していて、準備もしっかりとしてから臨んでくれるので、監督としてはすごくありがたく、本当に申し分がなかったです。
Q.一方、パク・ボゴムさんは韓国での公開時、入隊中でしたが、何か連絡はありましたか?
ちょうど公開した時期、ボゴムさんが休暇で出てきていたので、連絡が取り合えて、「映画を見ました」という電話をもらい、話したりしました。それから、電話のやりとりは1、2回しましたね。ボゴムさんは軍隊の生活にも慣れてきているようですし、僕も余裕ができたら会おうと話しているんですが、除隊したら必ず会うつもりです。
Q.ソボク役はパク・ボゴムさんが第1候補だったそうですが、監督から見ると、パク・ボゴムさんはどんな俳優ですか?
動物的な俳優です。俳優であれば、皆さんそういう側面を持っていると思いますが、他の俳優さんよりも動物的だと思わせるところが特徴的だと思います。頭の中でいろいろと悩んで、準備もして臨むんですが、ある瞬間、論理や理性を超える本能的な感情を表に出す瞬間をたくさん見ました。それが今回のソボクというキャラクターとよく合っていましたね。ボゴムさんには撮影中、モニターを見ながら、驚かされることがよくありました。本当に瞬発力、直感が優れた俳優だと思います。
Q.劇中では、コン・ユさんとパク・ボゴムさんは兄弟のように心を通わせていく役どころでしたが、実際に撮影現場での様子はいかがでしたか?
現場ではコン・ユさんがボゴムさんの面倒を見てあげていて、ボゴムさんもコン・ユさんのことを慕っていましたね。2人ともまず相手を気遣う性格なので、何の問題もなく、本当の兄弟のように見えました。だから、なおさら、率先して現場を仕切ってくれていたコン・ユさんに対して、ありがたかったです。俳優というのは、やはり自分の演技に集中しなくてはいけないので、自分のことで精一杯になってしまったり、自分の感情を作るのに敏感になったりしていると、周りのことまでは気を遣えなくなってしまうんですが、コン・ユさんには強い責任感がありましたね。
Q.監督が特にこだわりを持って臨んだシーンやおすすめシーンなどがあれば教えてください。
よくこういう質問を受けるんですが、監督の立場としては全てのシーン、全てのカットが我が子のようなんですよ。このシーンは適当に撮って、このシーンは頑張って撮るということはないわけで、全てのシーン、全てのカットを全身全霊で撮っているので、どのシーンが好きかと聞かれると、“ママが好きか、パパが好きか”と聞かれているような感じになります。なので、僕が思うには、観客の皆さん、それぞれが楽しいと感じるシーンがその方にとって意味のあるシーンだと思います。僕からすると、編集でカットしたシーンでさえ、申し訳なくて…。そのシーンに出てくださった俳優に対しても、すごく申し訳ないというのが監督としての正直な気持ちです。
Q.ちなみに、今回はどういったシーンをカットされたんでしょうか?
アン部長役のチョ・ウジンさんのシーンをかなりカットしました。なので、ウジンさんに申し訳なく思っています。そういう部分で、監督たちは映画を撮り終えた後、罪人になったような気分になることがありますね(笑)。だからといって、全部を入れることはできないですから、編集をしないわけにもいかず。それがいつも申し訳なくて悩みのタネです。ギホンとソボクの2人が出るシーンはほぼカットせずに、そのまま使っていて、序盤でコン・ユさん演じるギホンの設定を見せるシーンは少し減らし、ウジンさんのシーンはかなり減らしました。それぐらいですかね。
Q.いよいよ日本でも公開となりますが、最後に日本の観客にメッセージをお願いします。
僕の作品が日本で公開されるのは「建築学概論」に続いて2作目になり、本来でしたら日本に行ってごあいさつをしたいところですが、それが叶わず、残念に思っています。早くこのコロナの状況が収束し、以前のような日常に戻ることを強く願っています。こういう状況の中ではありますが、映画館で映画を通して、皆さんとお会いできることを楽しみにしています。ありがとうございます。
『SEOBOK/ソボク』
7月16日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー!
余命宣告を受けた元情報局エージェント・ギホン(コン・ユ)。死を⽬前にし、明⽇の⽣を渇望する彼に、国家の極秘プロジェクトで誕⽣した⼈類初のクローン・ソボク(パク・ボゴム)を護衛する任務が舞い込む。だが、任務早々に襲撃を受け、なんとか逃げ抜くもギホンとソボクは2⼈だけになってしまう。
危機的な状況の中、2⼈は衝突を繰り返すも、徐々に⼼を通わせていく―。しかし、⼈類の救いにも、災いにもなり得るソボクを⼿に⼊れようと、闇の組織の追跡は更に激しくなっていく―。
出演:コン・ユ『新感染ファイナル・エクスプレス』パク・ボゴム「青春の記録」
監督:イ・ヨンジュ『建築学概論』
2021年/韓国/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/114分/原題:ソボク
配給:クロックワークス
(C)2020 CJ ENM CORPORATION, STUDIO101 ALL RIGHTS RESERVED
Copyrights(C)wowkorea.jp 5