脱原発を叫んだ韓国政府、慶州市に文武大王科学研究所を着工(画像提供:wowkorea)
脱原発を叫んだ韓国政府、慶州市に文武大王科学研究所を着工(画像提供:wowkorea)
「世界最高水準の原子力技術力は諦められない大切な資産だ。今後、文武大王科学研究所が原子力技術の最先端に立つ大きな役割を果たすだろう」。

 韓国のキム・ブギョム(金富謙)首相は21日、キョンサンプクト(慶尚北道)キョンジュシ・カンポウプ慶州市甘浦邑で開かれた韓国原子力研究院・文武大王科学研究所の着工式に出席し、このように激励した。

 金首相は「政府は原発密集度が世界的にも高い状況を考え、これまでエネルギーの転換政策(脱原発政策)を進めてきた。(こうした政策の中でも)原発の安全・解体技術、小型モジュールの原子炉など、未来のための原子力研究開発を支援してきた」と述べた。

 今回の発言は、韓国政府が脱原発政策を進めてきた中で、国内原子力の技術に対して賛辞を送ったという点で意味がある。韓国政府は昨年の米韓首脳会談で、韓国と米国の両国が大型原発の輸出など原子力分野で協力することに合意していた。最近では猛暑が続き、月城原発3号機など原発3基を早期に稼働している。

 そのため、原子力業界などの一部では、脱原発政策に避けられない変化が起きているとも解釈している。

 中央大エネルギーシステム工学部のチョン・ドンウク教授は、「韓国は地政学的にロシア、中国、日本など原子力強国に囲まれている。こうした国際情勢の中で政府が進める炭素中立(カーボンニュートラル)は、原子力の技術を使わずに達成しにくい。そのため、政府が脱原発政策を進めながらも、原子力の重要性を振り返らざるを得なかったと思う」と語った。

 文武大王科学研究所は今年から2025年までの5年間、3263億ウォン(約310億円)を投入し、慶尚北道の慶州市に建設する予定だ。

 今回の研究所設立は、2019年7月に慶尚北道、慶州市と原子力研究所が業務協約を締結後に、同年11月、原子力振興委員会で政府政策として確定し進められた。今年6月30日には予備妥当性調査を通過し、2年ぶりに着工式を行うことになった。

 同研究所は今後、△データ、人工知能、ネットワーク技術を融合させた原発安全革新技術の開発△放廃物安全管理および原発解体技術の開発△小型モジュール原子炉(SMR)など未来革新原子力システムの核心技術の研究と実証などを行うことになる。韓国の原子力技術の未来が、この研究所にかかっているわけだ。

 韓国原子力研究院のウ・サンイク革新原子力基盤造成事業団長は「原子力発電所で発生しやすい人間のミスを防止するアルゴリズムの開発、ハッキングを防止する人工知能技術、放射性廃棄物の発生から最終処分場の到着までの履歴管理を自動にするシステム開発など、未来技術を開発する計画だ。地理的な利点を生かし、月城・新月城原発6基に対する安全性を高める研究や、寿命延長や廃炉などに必要な研究もする」と説明した。
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