韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領(画像提供:wowkorea)
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領(画像提供:wowkorea)
今朝、日本の岸田首相が「COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)」に参加するために日本を出発する前、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は既に英国北部のグラスゴーを訪問していた。ムン大統領はCOP26の場で、「韓国は今日、2030NDC(2030年の温室効果ガス削減目標)の上方修正を公式的に約束する」とし、「2018年対比の温室効果ガスを40%以上削減する」とも述べた。

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これを前に韓国政府は先月、温室効果ガスの排出量を2030年までに2018年比で40%削減する目標を正式に表明した。ムン大統領はこの時、ソウル市内で開かれた気候変動政策を統括する炭素中立委員会に出席し、「40%の削減目標は、(温室効果ガス排出量を実質ゼロにする)『カーボンニュートラル』に向かう韓国政府の強い意思と国際社会に対する責任を示すものだ」と述べた。

韓国はエネルギー源の41%以上を石炭が占めるなど、化石燃料の依存度が高い。しかし、脱炭素化の世界的な流れを受けて、高い目標の設定に踏み切った。ムン大統領はこの日の炭素中立委員会で「他の先進国に劣らない、非常に挑戦的な目標水準だ」と評価した。

ムン大統領は昨年、新しい経済発展戦略「韓国版ニューディール政策」を発表。その柱の一つとして掲げた「グリーンニューディール」には8兆ウォン(約7800億円)を投じ、再生可能エネルギーへの転換のほか、電気自動車(EV)や水素自動車の普及を後押しすることを打ち出した。また、昨年10月には2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと表明した。

さらに昨年12月には韓国政府から「2050年カーボンニュートラル推進戦略」が示された。カーボンニュートラルと経済成長、生活の質向上を同時に達成するため、「経済構造の低炭素化」「低炭素産業エコシステムの形成」「カーボンニュートラル社会への公正な転換」を掲げた。

脱炭素化に向けた政策が進められる中、先月18日に正式表明された、「2030年までに温室効果ガスを2018年比40%削減する」という目標は、2015年に設定された26.3%から大幅に引き上げられることとなった。

達成に向け産業、建物、輸送、農畜水産、廃棄物など、部門別の削減量も算定されているという。韓国は2018年に温室効果ガスの排出量がピークに達したとみなし、同年比で削減目標を掲げている。

ムン大統領は「経済の持続的な成長と国際競争力を高めるためにも、一層スピーディーに温室効果ガスの削減と炭素中立の実現に取り組む」と決意を示し、「国の命運がかかっている」と強調した。

しかし、2030年にこの目標を達成するためには年平均4.17%削減する必要があり、容易ではない。年間削減目標が2.81%の米国や、3.56%の日本、1.98%の欧州連合(EU)などと比べても高い。

産業界からは新技術投資や生産調整などが必要になるとして、早くも懸念の声が上がっている。これに対し、ムン大統領は「企業だけに負担を転嫁せず、政府は政策的、財政的な支援を惜しまない」と述べている。

しかし、世界に約束した2030年まで「温室効果ガス40%削減」のためには、脱炭素エネルギー源の確保がもっとも重要だ。今の技術レベルとしては、革新的な新技術が登場し実用化されない限り、太陽光や風力で9年後の2030年まで、今回の約束を果たすことは厳しすぎる。

約束を守るためには、ムン大統領が原発事故映画の観覧後、自ら止めていた原子力発電所の新規建設や再稼働が必須となる。その場合、この2年間、ムン政権が専門家の意見を無視しながら、日本の処理水に含まれるトリチウム(三重水素)の残存量に対して非難してきたことがブーメランとなる。

つまり、韓国のムン政権が日本に対して主張してきた汚染水を処理水にする処理基準は、新設・再稼働される韓国の原子力発電所にも同じく適用・公開せざるを得なくなるとのことだ。過去、韓国で公開されていた韓国原発の海洋放出トリチウム量は、日本政府が海洋放流しようとする処理水のトリチウム量よりも多い。

ムン大統領は、日本に対して要求してきた厳しい基準を韓国にも同じく適用しながら、「COP26」で発表した2030年の約束を果たせるのか。9年後のその頃、ムン大統領はどこにいるのだろうか。

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