紛争調停委は29日、会員の個人情報を同意なしに第3者へ提供した、フェイスブックに対する紛争調停案を提示したと発表した。
個人情報紛争調停とは、個人情報の流出や誤用、乱用などの被害について、裁判所の訴訟より迅速かつ容易に、当事者間の合意で紛争を解決する制度のこと。被害類型が同様の50人以上が集まれば、集団紛争調停が申請できる。
これに先立って、フェイスブックは2012年から2018年までの6年間、少なくとも330万人以上の個人情報を当事者の同意無しに他の事業者に提供した。該当の件で個人情報保護委員会(以下、個人情報委)はフェイスブックに課徴金67億ウォン(約6億5000万円)、過料6600万ウォン(約640万円)を科した。続いて今年の4月16日、フェイスブックを相手取り、被害者の一部が紛争調停委に個人情報集団紛争調停を申請し、今月29日に最終的な紛争調停案が示された。
調停案には申請者181人に対し、各30万ウォンの損害賠償を支払うこと。個人情報を申請者から受け取った第3者の身元や、提供した個人情報の類型や内訳を申請者に閲覧させることなどが盛り込まれている。
紛争調停委は申請者の証拠資料と先の個人情報保護委員会の決定例に基づいて、このように審議・議決したと説明した。
紛争調停委はフェイスブックが、韓国のフェイスブック利用者の個人情報1万個以上を、第3者であるアプリ開発者に提供し、このような事実を利用者に知らせたり、同意を得たりしていなかったと判断した。
また、申請者の個人情報閲覧請求などを拒否するなど、フェイスブックが申請者の個人情報を同意なしに第3者に提供していないことを立証できていないと判断した。そこで、申請者の個人情報が同意なしに第3者に提供されたとことについて、相当な信ぴょう性があると結論付けた。
紛争調停委が提示する調停案を両当事者ともに受諾すれば、調停が成立する。これは個人情報保護法等の関連規定によるもので、裁判上の和解と同様の効力を生じる。ただし、当事者の中で一人でも調停案を受諾しなければ「調停不成立」で終結する。紛争調停委は、議決された調停案を直ちに両当事者に通知する予定だ。
キム・イルファン個人情報紛争調停委員長は「フェイスブックのような大手プラットフォーム企業への個人情報の偏りが深まる状況で、相対的な弱者である情報主体の権利を保護するために導入された、集団紛争調停制度の趣旨を考慮して調停決定をくだした。グローバル企業のフェイスブックが、個人情報保護に関する責務を履行するためにも、調停案を受け入れることを期待する」とし、「紛争調停制度の実効性を確保するために、今回の個人情報保護法改正案が国会で迅速に処理されることを望んでいる」と述べた。
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