先進国の緊縮の動きにも、資金緩和政策を続ける日本の本音とは=韓国報道(画像提供:wowkorea)
先進国の緊縮の動きにも、資金緩和政策を続ける日本の本音とは=韓国報道(画像提供:wowkorea)

 日本銀行の黒田東彦総裁は「新型コロナの収束後も大規模な量的緩和を続けるつもりだ」と明らかにした。米国の連邦準備制度(FRB)が債券の大規模な買い入れを縮小することを決めた上、欧州でも7年間のマイナス金利時代が終わりつつあるとの評価が出ている中での黒田総裁のこの発言は注目を集めている。物価が予想より早く跳ね上がっている米国や欧州などと日本が置かれている状況が異なるというのが黒田総裁の説明だ。

ゼロ の最新ニュースまとめ

 NHKによると4日、黒田総裁はこの日の正午から岸田文雄首相と首相官邸で会談し、金融政策と国内外の経済情勢などについて意見を交わした。岸田内閣発足後、首相とは初の会談だ。

 黒田総裁は「新型コロナの新規感染者は急速に減少しているが、資金繰りなどに対する支援は来年3月まで続ける」とし、「2%物価安定目標のためのいわゆる収益率曲線制御(YCC)政策は新型コロナの収束後にも継続する」と明らかにした。YCCは特定国債金利が目標値を上回った場合、無制限に買い付け、金利を抑える政策だ。昨年、オーストラリアでも新型コロナを打開し、低金利を維持するためにYCCを急遽導入したが、最近になって中央銀行の大規模な資金供給によってインフレが高まっているという懸念の中でYCCを終了した経緯がある。

 黒田総裁は、また「短期金利はマイナスに、長期金利はゼロ水準に制限する現在の大規模金融緩和策を続ける」とも述べた。日銀はこの日、政策委員会・金融政策決定会議で短期金利はマイナス0.1%に凍結し、長期金利指標である10年物国債金利は0%程度に誘導するため、無制限に長期国債を買い入れる大規模金融緩和を維持することを決定した。

 インフレへの懸念が高まり、世界主要国の各中央銀行が資金供給を打ち切るのとは正反対の動きを見せている。FRBは3日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、11月からは月1200億ドル規模の大規模資産買い入れを毎月150億ドルずつ減らして来年6月までに債券買い入れ量をゼロ水準に減らすと明らかにした。欧州中央銀行(ECB)も米国と同様に、年明けに緊急債権買い付けプログラムを終了する可能性が高い。

 しかし、日本は米国、欧州とは状況が違うというのが黒田総裁の説明だ。FRBと欧州ECB、そして日銀は物価上昇率2%という目標を立てているが、達成できていないのは日本だけだ。長い間、低成長や物価安に苦しんできた日本の最大の悩みはインフレではなくデフレ(景気低迷の中での物価下落)だ。新型コロナで打撃を受けた世界経済が回復し、インフレ懸念が高まっているが、日本には他国の話だということだ。

 米国の9月のコア個人消費支出(PCE)は前年比3.6%と、30年ぶりの最高水準を記録し続けている。FRBの物価上昇率目標値である2%も越える水準だ。ユーロを使用している19カ国の10月の消費者物価上昇率も13年ぶりに最も高い4.1%を記録し、目標値の2%はもちろん、展望値の3.7%も大きく上回った。

 一方、日銀は先月28日に報告書「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を発表し、物価上昇率展望値を0.6%から0.0%に下げた。今年の実質国内総生産(GDP)も3.4%との見通しを示し、7月の予測より0.4%ポイント下げた。

 これに先立ち、黒田総裁は今月2日、鈴木俊一財務相と山際大志郎経済再生担当相と会談し、「デフレから脱却するために物価を2%上昇」という目標を盛り込んだ2013年の政府と日銀の共同声明を維持することを確認した。

Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 84