タイフーン の最新ニュースまとめ
興行的に成功を収めた作品は、監督や俳優を苦しめる“罠”ともなる。どんな作品を発表しても比較される運命、クァク監督にとって、800万人の観客を動員した『友へ チング』がそれだ。以降、『トンケの蒼い空』『タイフーン』などを発表したが、観客の目は厳しい。『タイフーン』には「失敗作」という汚名が着せられた。また、どの作品も男性優越主義的で、決まって釜山が舞台だと言われる。
物語は、親しい後輩の話から生まれた。“組織”に属するその後輩が、自身と周辺の成長と義理、愛について原稿用紙100枚につづり、クァク監督に託した。「組織の一員というと、頭が悪く粗暴なやつと思われがちだが、家庭環境のせいでその道に入ることが多い。その後輩はとても頭が良く、独特な視線で世の中を見ているんです」と、熱く語る。その後輩の文章に惚れ込み映画化を考えたが、「またやくざ映画か」と周りに反対され、一度はあきらめた。しかし、プロデューサーが愛に関する部分だけを脚色してはどうかと提案したことから、すべてが始まった。
『友へ』以降、男の物語を描き続けてきたクァク監督が、今回は愛だけにこだわった。「洗練されたラブストーリーを撮る人間はほかにもいるだろう。男性優越主義と言われるが、それがそんなに悪いことか」と反問する。そこから人間の臭いがして、エネルギーが見えてくれば拍手をしてほしい、それが自分のやり方だと。また釜山の方言かと言われても、シナリオを書くとき、作家として感情表現が一番しやすい言葉を使うのが楽なだけだと語る。
クァク監督作品では女性をあまりクローズアップしてこなかったが、今回はパク・シヨンが美しい。主演のチュ・ジンモの熱演は、彼に対する評価を変えた。チュ・ジンモはこれまで単独主演経験がなく、パク・シヨンは仕事よりもプライベートのことで知名度があるタレントだった。監督はクランクイン前、「この作品で何かをやり遂げられなかったら、俺も皆も死ぬんだぞ」と出演陣を脅したという。「もっといい俳優や監督の作品と封切り時期がぶつかったら、何か見せてやらなきゃならないと。『友へ』の時も同じことを言ったんですけどね(笑)」
今回の作品は、なぜ『愛』だったのだろうか。その質問に監督は、自身がこれまでに感銘を受け、今も記憶に残っている映画は、よく考えてみるとほとんどが恋愛映画だったと答えた。しかし、むしろ恋愛映画のほうが、うかつに手を出せないものがあったのだという。観客に喜びと同時に苦痛を与えるかもしれないと怖くさえ思っていたが、一度はやってみるべきではないかと考えた。
これほど新派的、泣かせるメロドラマ的な展開にしたのは、「若いころに愛を賭ける人間は意外に多い」ということからだ。
自身の軍入隊時代、脱営や自殺騒動の理由のほとんどは異性問題だった。年をとったらそうもいかない。
「ジンモが演じたチェ・インホは、若くして愛というものを知った。その年齢では、愛に命を賭けるものです」。
『友へ』で華やかな栄光の中に立った監督が、厳しい評価を甘んじて受け入れなければならなくなった。監督は、「(興行成績が)期待ほどじゃなかったとしても怖くはないですね。無視しようというのではなく、“まあしょうがないし、次にいってみよう”と考えるということです」。そんな風に話しているところに、秋夕(旧盆)連休公開映画のチケット予約販売1位は『愛』、という知らせが入った。
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