韓国大統領選挙の「脱毛治療」公約に20~30代が熱い反応を見せる理由…「私の頭のために、イ・ジェミョン」パロディも広がる(画像提供:wowkorea)
韓国大統領選挙の「脱毛治療」公約に20~30代が熱い反応を見せる理由…「私の頭のために、イ・ジェミョン」パロディも広がる(画像提供:wowkorea)
韓国でことし3月に大統領選挙を控える中、各党の候補者が「脱毛」関連の公約を競っている。特に20~30代を中心に熱い反応が見られる。ただ、一部ではポピュリズムだという指摘も出ている。

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 始まりは、与党「共に民主党」候補のイ・ジェミョン(李在明)氏だった。李氏は今月4日、“小・確・幸”(=小さいけど確実な幸福)公約プラットフォームを通じて、脱毛治療薬に健康保険を適用する公約を検討中だと明らかにした。これに対し、「国民の党」から候補のアン・チョルス(安哲秀)氏も5日、財政問題を挙げて脱毛治療薬の価格を下げると加勢するなど、予想もできなかった「脱毛」が大統領選挙の話題となった。

 特に20~30代はこれを歓迎した。実際に、国民健康保険公団によると、昨年「脱毛症」によって治療を受けた人は年齢別に見ると30代が22.2%(5万2000人)で一番多かったという。続いて40代(21.5%)、20代(20.7%)で、20~30代の比重が半分近くになる。

 さらにインターネットコミュニティなどを通じて情報を共有し、早く反応する20~30代の特性と「脱毛」というイシューが合致したのだ。李氏が脱毛関連の公約を発表すると、関連コミュニティなどでは反応が熱かった。「イ・ジェミョンを選ぶ」の代わりに「イ・ジェミョンを植える」という言葉を作ったり、「私の頭のために、イ・ジェミョン」といったスローガンのパロディを作ったりして瞬く間に広がったのだ。

 20代の男性は「M字型や円形の脱毛が始まったようなので心配する友人が少なくない。今から抜けたら60年以上薄毛で生きていかなければならないと思って憂うつだったが、ニュースを見てうれしかった」とコメントした。

 女性も肯定的な反応を見せている。脱毛は男性の悩みだと思われるが、健康保険公団の統計によると、昨年脱毛治療を受けた男性は13万人、女性は10万人とさほど大きな差はなかった。脱毛が特定の性別の問題ではなく全国民の悩みなのだ。

 脱毛治療薬を処方され、6か月間服用したことがあるという31歳の女性は、「ストレス性の脱毛がひどく、1か月に6~9万ウォン(約5800~8700円)ほどの処方薬を飲んだ。無視できないレベルの費用の助けとなる制作なので、これまで公論化できなかった問題に火が付いた気がする」と語った。

 また大学院生の30歳女性も「論文審査準備のストレスで頭のてっぺんが脱毛し、来院まで悩んだことがある。健康保険を通じて脱毛が疾病だという認識が社会的に広がり、女性の脱毛が恥ずかしいことではないと共感されれば、女性たちも負担なく病院に行けるはず」と述べた。

 ただ限られた健康保険財源の特性上、「ポピュリズム」だという批判は避けられない。国民健康保険公団の健康保険研究院長の経験がある済州大学医学専門大学院のイ・サンイ教授はこの公約について「国民健康保険の持続可能性を毀損(きそん)するポピュリズムだ」と評価。ユン・ヒスク元国民の力議員も「トル(毛)ポピュリズム」だと批判した。

 文化評論家のチェ・テソプ氏は「脱毛支援に関する優先順位、これを説明するため動員された身体完全性などの表現を見るとポピュリズム的な議題選定になり得る。政争中心の大統領選挙政局の中、『私に直接的に助けになる公約』が登場したため、歓迎される面がある」と分析。続けて「脱毛が男性のイシューではないが、相変わらず女性より多い男性のコミュニティでイシューや支持を呼ぶ傾向があるだけに、責任ある世論の収束と議題設定過程が必要だ」と述べた。

 与党は「現実的な適用」のために検討を続けていく立場だ。保健福祉委員会所属のキム・ウォンイ共に民主党議員は「1年で脱毛治療薬の売り上げは1100億ウォン(約106億円)で、そのうち健康保険財政で10~30%を適用すると政府の負担は最大770億ウォン(約74億円)だ。社会的疾病克服レベルで770億ウォンは負担可能な規模であり、そこに保険報酬を適用した時、薬の値段を下げるなど考慮すれば社会でも耐えられるレベルだ」と述べた。
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