韓国最高裁、「金日成回顧録」販売禁止仮処分申請を棄却

故キム・イルソン（金日成）北朝鮮主席の抗日回顧録「世紀とともに」の販売・配布をしないよう求めた韓国市民団体の仮処分申請が、韓国の最高裁で棄却された。

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　韓国の法曹界によると、最高裁は18日、市民団体が図書出版「民族サランバン」のキム・スンギュン代表を相手取って起こした販売・配布禁止仮処分申請の再抗告に対し、棄却の判決を下した。

　図書出版「民族サランバン」が昨年4月に出版した「世紀とともに」は、過去に北朝鮮の朝鮮労働党出版社が発行した原典をそのまま写したものだ。そのことが明らかになり、韓国では歴史的事実の歪曲（わいきょく）や実定法違反などの論争が起こっていた。

　市民団体は「金日成一家を美化したこの本は、国家保安法上利敵表現物と認められたものだ。それにもかかわらず、販売・配布されれば、憲法が定める人間の尊厳と人格権が侵害され、自由民主的基本秩序が害される」として、昨年4月に仮処分を申請した。

　しかし、一審は「国家保安法上刑事処罰される利敵表現物に該当するという理由だけで、この行為が申請者の人格権を侵害し、事前に禁止されるべきだと判断するのは難しい」として、申請を棄却した。二審も「書籍の内容が唯一思想による全体主義体制を基にしているとしても、一般人が内容をむやみに受け入れて、これと違う内容の精神的活動ができなくなるとは考えにくい」とし、一審の決定が正当であると判断した。