韓国の尹錫悦大統領が5月10日、就任式で宣誓をしている様子(画像提供:wowkorea)
韓国の尹錫悦大統領が5月10日、就任式で宣誓をしている様子(画像提供:wowkorea)
韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領はきょう(16日)「経済危機の克服」と「協治」をキーワードに、国会で就任後初の施政演説を行なった。

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尹大統領は「われわれは、今直面している経済・安保危機の克服のため、国会との超党的協力が必要だ」と強調し、第2次世界大戦という絶体絶命の危機状況で英国の保守党と労働党が戦時の連立内閣を構成し、国家の全ての力を総動員して危機から国を救ったという事例を力説した。

尹大統領は今月10日の就任式で「自由」という言葉を35回言及したほど、自由民主主義を強調した。1987年の民主化体制以降、歴代大統領が就任の辞で言及してきた「統合」と「協治」は、全く発言されなかった。そのことについて尹大統領は「統合と協治は当然なことなので、あえて言及しなかった」と語っている。

尹大統領の国政哲学である「自由」は、いくら強調してもし過ぎることがないほど重要ではあるが、「抽象的な談論だ」という限界もある。衝突する理解と対立を解くべき現実の政治において、力強く作動するのは野党との対話と妥協、すなわち「協治」である。尹大統領は、新政府の最初の課題である追加補正予算案の速やかな国会通過と、ハン・ドクス(韓悳洙)首相候補の認准をはじめとして、今回の姿勢演説でも語られた年金・労働・教育改革などの国政懸案において、野党と協力しなければならない。したがって「協治」は、勝者による “ゼロサムゲーム”ではない。

ムン・ジェイン(文在寅)前大統領は就任当日、初の行動として野党の党舎を訪ねた、これまでで稀な大統領であった。国会を尊重する「協治と統合の象徴」となるよう国民と野党に約束したが、結果はご存じの通りだ。尹大統領は、自らが就任の辞で批判した「各自が見て聞きたい事実だけを選んだり、多数の力により相手の意見を抑圧する反知性主義」に陥ってしまった。「われわれがすることは改革であり、野党がすることは既得権を守るための言いがかりだ」と決めつける “独善”に陥った瞬間、「独走」が始まる。尹政府は「反知性主義がブーメランとなって自分に戻ってくる」という歴史的教訓の前に謙虚になるべきだ。

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