安倍元首相の死去を祝い「1+1」イベントを行うとする横断幕をかけた中国商店(画像提供:wowkorea)
安倍元首相の死去を祝い「1+1」イベントを行うとする横断幕をかけた中国商店(画像提供:wowkorea)
安倍晋三元首相の死去を受けて習近平中国国家主席と中国政府が哀悼の意を表明したが、中国の民衆の反応は全く違うものだった。中国の一部の現地商店が「安倍元首相の死を祝う」という垂れ幕をかけて割引イベントを行うなど、中国国内の世論が交錯している。

10日、中国最大のSNSであるウェイボー(微博)に、安倍元首相の死去を祝い「1+1」イベントを行う商店の写真が掲載された。ある配達飲食店では「7.8安倍祝賀セット」が販売されている。

真偽が確認されていない写真がほとんどだが、中国のネットユーザーの間では安倍元首相の死を嘲弄(ちょうろう)の種にしている雰囲気だ。8日に安倍元首相が銃撃されたことが伝えられた後、上海取引所に上場する外食企業「トンチンルー(同慶路)」の株価がストップ高を記録した。「同慶」とは共に喜ぶという意味で、投資家たちが安倍元首相の死去を祝うという意味でこの株式を買ったのではないかと分析されている。この会社の責任者は「株価上昇の理由が分からない」とし、「当社からは特に重大な発表はしていない」と当惑している。

中国国内ではこのような反応をめぐって論争が繰り広げられている。一部では過激な民族主義者が中国のイメージを傷つけるとして、このような動きを批判する声も出ている。

論争が大きくなり、中国国営メディアの環球時報のフ・シジン元編集長が口を開いた。フ元編集長は中国のソーシャルコミュニティ「バイジャハオ(百家号)」に掲載した書き込みで、「最近オンラインで安倍元首相の銃殺を称賛するネットユーザーが多いが、世論の場なので、そのような意見が出るのは正常なことだ」としながらも、「外部ではわれわれの発言を利用して中国を批判する恐れがあるということに警戒しなければならない」と述べた。

フ元編集長は、安倍元首相が中国の民衆の間でイメージが非常に悪い理由について「在任期間中、特に任期序盤で日中関係改善に積極的な態度を見せたが、言動が一致せず、任期後半には米国の対中戦略の変化に積極的に協力して日中関係の悪化に重要な役割を負っていたため」と語り、「また安倍元首相は日本の平和憲法の改正を積極的に推し進め、靖国神社を参拝しないと表明した後にも引き続き供物(くもつ)を献納していた」と指摘した。

続けてフ元編集長は、「首相職から退いた後も、安倍元首相は『中国が台湾を攻撃するのは自殺行為』と攻撃した」とし、「安倍元首相は在任期間が最も長く、中国で最もイメージが悪い日本の首脳だ」と評価した。

フ元編集長は先立って8日、安倍元首相の死亡ニュースが発表された後、SNSの微博で「同情の意を表明する」とし、「今は政治的な議論をする時ではないと考えている」との立場を明らかにしていた。

一方、中国の習近平国家主席は9日、安倍晋三元首相の銃殺を受けて、岸田首相に弔電を送った。習主席は中国政府と国民を代表して個人名義で送った弔電で「安倍元首相が被害に遭ったことに深い哀悼の意を表し、遺族に慰労の意を明らかにした」と中国中央テレビは伝えた。習主席はまた、彭麗媛夫人とともに安倍元首相夫人である昭恵夫人にも弔電を送っている。
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