「考えていたものと全然違いましたね。あのポスターだけ見たら、だれもが『スカウト』はコメディ映画だと思うでしょう。でも映画を見ればある程度その部分(その先入観)に勝てる側面もあると思います」。
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映画『セックスイズゼロ(色即是空)』など、一連の映画出演作でコメディ俳優としてのイメージが定着しているイム・チャンジョンだが、そのせいで彼が出る映画はコメディ映画だとの先入観が付きまとう。
それについては「そういう話はとても気分がいいですよ。特にコミカルに見せようとしていないのにそう見えるならば、そっちの素質があり、それが僕のスタイルということですから。正直に言うと、わざとコミカルな演技をしようとしたことは1度もないんです」と説明する。自身が常に表現しようとしているのは、どこにでもいる兄弟、友達のような普通の人だが、それがコミカルに映るならそれが自分のスタイルだと言い切る。
『スカウト』では、コミカル演技と言える部分はほとんどない。あるのは“生活の演技”だけだ。ホチャンはつらい記憶を持つ果たせなかった愛の主人公であり、光州民主化闘争という歴史の渦に巻き込まれていく弱い民草だ。
「エンディングシーンをめぐってはいろいろな意見がありました。私はホチャンの悲劇的な結末に対する余地を残すエンディングを望んでいましたが、結局は詳細なナレーションを付けたハッピーエンドでした。ホチャンとセヨンが2人で幸せに暮らす完全なハッピーエンドという意見もありましたがそうはなりませんでしたね。でも映画を見るとナレーションを付けたのも良いようで、むしろ満足してます」。
イメージチェンジに対する欲はないのかと尋ねると、そうした気持ちはあるものの、どうしていいかがわからないという。コメディ俳優としてのイメージがついており、自分にはホラーやノワール(犯罪映画)といったジャンルのシナリオが入ってこないため、シナリオは似たようなものばかりだが、だからといって自分勝手に変えられるものでもないと話した。
映画撮影中には、相手役のオム・ジウォンとのキスシーン撮影時に、自分の知らないうちに妻がフライドチキンの差し入れを持って撮影現場に来ていたというエピソードを披露した。「撮影が終わったら妻が手にチキンを持ってにらんでて、“よかったか”って聞くんです。だから“キスしたんだからよくないわけないだろ”って言い返しましたよ(笑)」。
これからの計画については「主演ではなく1度助演をしてみたい」と意外な答えが返ってきた。主演は相当に典型化し枠にはまったキャラクターなのでアドリブも勝手にはできず、自分が何かをやってみる余地もほとんどないが、助演なら自由な部分も多そうだからだという。「主演ばかり続いてるから助演はいやじゃないかって?僕の職業は演技者であり俳優です。主人公ではないんです。もちろん主演を1度もしたことない人なら主演をやりたいでしょうけど、私はすでにたくさんやってるのでね」。イム・チャンジョンはそう言って微笑んだ。
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