深夜の町をパトロールする安心帰宅サービスのスタッフ(画像提供:wowkorea)
深夜の町をパトロールする安心帰宅サービスのスタッフ(画像提供:wowkorea)
人通りが少なく街灯のないソウル市ウンピョン(恩平)区のある路地。帰宅途中の犯罪が多発し、雨の夜道は不安が襲う。帰宅途中の人を守る「番人」である安心帰宅サービスのスタッフたちは自らを「歩く街灯」であると胸を張る。

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7日午後10時頃、ソウル市恩平区のジュンサン(甑山)駅4番出口。黄色いベストを着た中年の女性たちが、帰宅途中の夜の街を守るために雨に濡れながら駅の前に集まっていた。彼女らは午後10時になると必ずここに集まり、深夜の午前1時まで町内住民の帰宅をサポートしている。恩平区だけで計13人のスタッフがいる。 彼女らは、市民が「安心帰宅サービス」アプリや電話でサービスを申請すれば、帰宅に同行してくれる。2人1組で活動するスタッフたちは、サービスを申請した人が安全に家に到着し、玄関のドアが閉まるまで見守ってくれる。

安心帰宅サービスのスタッフたちは、奥まった地域や街灯のない場所のパトロールもする。流れる汗を拭きながら、スタッフたちはマンションの駐車場や街灯のない狭い路地などを見回りしていた。パトロールを通じて犯罪を予防し、現場で帰宅途中のサービスを要請する人々を助けるためだ。町内の住民で周辺の地理を知り尽くしているという60代のキムさんは「ここは空き家」、「ここは街灯のない区域」、「ここは私たちの帰宅サービスの常連さんの家」と教えてくれた。

ソウル市のオ・セフン市長が「1人世帯安心」事業として2021年10月から推進している「安心村保安官」は1人世帯の密集地域を巡回しているが、「安心帰宅サービス」は上記の該当地域ではない人に注目するという点で違いがある。ソウル市の関係者は「安心帰宅サービスは点と点を結ぶ役割を担っており、安心村保安官は拠点を定めて巡察するものであり、運営方法が違う」と述べ、「両事業とも市民の帰宅の安全を守る重要なサービス」と語った。

安心帰宅サービスの利用者は、新型コロナウィルスの感染拡大以降減ったことが分かった。キムさんは「新型コロナウィルスの流行により人との接触を避ける時代になり、かつては酔った人が夜の街を徘徊していたが、営業制限によってそのような光景がしばらく消えていた影響」と説明した。

最近、新型コロナウイルスの防疫指針が解除され、深夜に帰宅する人も増えたが、安心帰宅サービスの認知度が低いため、利用率が低い影響もある。恩平区役所によると、今年上半期の帰宅サービスの利用件数は81件に過ぎなかった。サービスを要請しなかったとしても夜の街には危険が潜んでおり、同期間にスタッフが行ったパトロール件数は1535件に達した。

特に最近は帰宅途中の犯罪が多発している。6月16日、ソウル市マポ(麻浦)区テフン(大興)駅では現役の職業軍人が明け方に一人で帰宅中だった女性の後をつけた。人の気配を感じた女性が玄関のドアを素早く閉めたことで、大きな被害にはつながらなかったが、警察は住居侵入の容疑でこの男を軍憲兵隊に引き渡した。10日も経たないうちにソウル市チュン(中)区で40代の男が帰宅していた20代の女性を地下鉄駅から追いかけて乱暴し、警察に逮捕された事件もあった。被害者は抵抗して転倒し、全治4週間の打撲傷を負った。

多発する帰宅途中の犯罪ニュースに、スタッフたちのパトロールに一層力がこもる。梅雨と猛暑の季節にもかかわらず、彼女らが黄色いベストを着て地下鉄駅に出勤する活力もここから出てくる。11か月間にわたりスタッフとして業務をしているという40代のユさんは「娘を育てる母親として、娘の帰りが遅くなると不安になって外に出てみたりする」と話し、「私も恩平区の住民だから『町の住民、家族のための仕事』という使命感を持って夜の街を照らしている」と笑った。キムさんも「私たちをよく利用してくれる方がいるが、その方は帰宅サービスなしでは家に帰れない。そんな方には必ず必要なサービス」と話し、「より多くの人に利用してほしい」と語った。
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