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停滞する前線の影響で、韓国は8日からソウルなど首都圏を中心に大雨が降り、大きな被害が出ている。ソウル市トンジャク(銅雀)区では8日夜、1時間に141.5ミリの猛烈な雨を観測。これまで最高だった1842年8月に観測された1時間に118.6ミリの降雨量を80年ぶりに上回った。また、1時間あたりの雨量が136ミリを超えた地域もあり、韓国メディアは「115年の観測史上、最大規模の記録的大雨」と伝えている。各地で浸水被害が発生し、鉄道も一部は運休するなど交通機関にも影響が出た。
車両の水没被害も相次ぎ、聯合ニュースによるとソウル市、キョンギド(京畿道)、インチョン(仁川)市の首都圏で8、9日の2日間に約7000台の車両が水没したという。損保会社各社には被害の連絡が続々と寄せられており、サムスン火災、DB損害保険、現代海上、メリッツ火災、KB損害保険の韓国の損保大手5社には10日午前の時点で5657台の被害の申告があり、損害額は774億ウォンと推定される。
また、損害保険協会のまとめによると、被害車両のうち輸入車の被害申告台数は、10日午前9時現在、大手損保5社の合計で1894台、被害額は424億4000万ウォン(約43億4100円)に上る。中央日報によると、5億ウォン(約5100万円)を超えるフェラーリや2億3000万ウォン(約2350万円)のベンツ「Sクラス」、1億8000万ウォン(約1840万円)のポルシェ「パナメーラ」、1億7000万ウォン(約1740万円)のベントレーなど超高級外車の申告もあるという。
ある損保会社の関係者は、聯合ニュースの取材に「わずか2日間で約7000台の車が水没したのは異例だ」とし、「高額な輸入車の割合が大きく、損保会社にとっては非常事態だ」と話した。
損保協会によると、過去には2003年の台風の際、4万1042台の被害申告があり、推定被害額が911億ウォン(約93億円)に上った例があるという。
今回の豪雨では首都圏、とりわけソウル市の江南地域でも大きな浸水被害が発生したことにより、一層、損保会社を悩ませることとなった。一帯はおびただしい数の高層マンションが立ち並ぶ富裕層居住エリア。そのために高級車の所有者も多い。ある損保会社の関係者は中央日報の取材に「高級車が集まっている江南地域から車両浸水報告が殺到しており、自動車保険の補償側としてはパニック状態。浸水すればほとんど全損処理しなければならず、こうした高級外車の場合、保険会社としては損失が大きい」と頭を抱えた。
海外メディアの中には、今回の豪雨災害について江南での被害に特に焦点を当てて報じるメディアもあり、フランスのAFP通信は江南を「歌手PSY(サイ)の2012年のK-POPヒット曲『江南スタイル』に登場する、ソウル南部の豪華で裕福な地域」と紹介。その上で、「人々が腰まで上がった水を渡った。地下鉄駅は氾濫し、自動車はほとんど水に浸かった」と伝えた。
一方、中央日報よると、現代海上交通気候環境研究所が2006年から2012年までにソウル・江南区で発生した車両浸水事故を分析したところ、車両浸水事故の56.3%が1時間に35ミリ以上の降水があった際に発生していたことがわかった。現代海上は同紙の取材に「1時間に35ミリ以上を基準に格別な注意をすべき。車両浸水事故は関心を持てば予防できるケースが少なくない」と話した。
韓国メディアのイーデイリーは「今後も豪雨が続くとの予報があり、被害規模はさらに大きくなる見通しだ」と伝えている。
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