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「価値外交」を先立てた尹大統領は、サード(THAAD:終末高高度防衛ミサイル)問題はもちろん半導体供給網・台湾問題まで選択が迫られている。中国は大統領候補当時に「サードの追加配置」を公約に掲げていた尹政府に対し「サード3不」(サードの追加配置の不可・米ミサイル防衛システムへの不参加・日米韓3角軍事同盟への不参加)をあらためて主張した。さらには「1限」(すでに韓国に配置されているサードの運用を制限すること)まで主張し圧力をかけている。韓国政府は「“サード3不”は国家間の合意や約束ではなく、公開された見解を説明したもので拘束力はない」という立場をとっている。
米国の主導するIPEF(インド・太平洋経済フレームワーク)が発足したことにつづき、半導体供給網協議体「チップ4」(米・日・韓・台)にエンジンがかかったことで、中国は鋭い反応をみせている。韓国政府は「特定の国家を排除するものではない」とし「4か国のうち唯一 “中間者”の役割が可能だ」として、中国を説得した。ナンシー・ペロシ米国下院議長の台湾訪問により台湾海峡に軍事的緊張感が高まった中、韓国政府は「朝鮮半島の平和と安定に否定的な影響を与えるおそれがあり、供給網の混乱など経済的な不安定を引き起こすおそれがある」と懸念を伝えた。
韓国の立場としては、尹大統領の対北政策ロードマップ「大胆な構想」を推進するためには中国の役割が必須であることに加え、両国の経済協力関係と相互依存性を考慮しなければならない。同様に米韓同盟の強化を外交の最優先政策として掲げた尹大統領は、対北政策支持のための重要な軸である米国を考慮しないわけにはいかない。経済と安保という全方位で米国と中国が韓国に選択を迫っている状況はすでに始まっていて、この選択による代価を支払わなければならない状況が表れるしかない。任期100日を過ぎた尹大統領の今後の外交が、順調な道だけを歩んでいくことができない理由である。
イファ(梨花)女子大学のパク・ウォンゴン教授は「結局、韓中関係の最も大きな変数は米中関係なのだが、これからの30年間よくはならず引き続き悪化する可能性が高い」とし「もし管理しなければ軍事的衝突の可能性まで生じる状況であるため、そこで韓国がゼロサムゲームへと進んでいる米中間のうち一方を選択しなければならない困難な状況が表れ続けるおそれがある」と推測した。
国立外交院のキム・ハングォン教授は「韓国は非常に強い中堅国であり世界的な経済力と軍事力をもっているが、米中に比べると相対的に総合国力が弱いため、戦略的柔軟性を念頭に置く対米・対中政策や対外政策を準備しなければならない」とし「IPEFやNATOサミットにおけるAP4(日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランド)首脳会合の事例のように、両者外交より負担の少ない多国間外交による協力を通じて解決していく必要がある」と強調した。
ことし11月にインドネシア・バリで開催されるG20サミットには、習近平中国国家主席の出席が確定している。このことから、サミットをきっかけとした中韓首脳会談が実現するか注目されている。
国民大学のチョン・ソンフン教授は「韓中首脳会談前に、我々の中国戦略が立てられなければならない」とし「首脳会談をしなければならない必要性を習主席が感じるようにしてこそ、国益に合う首脳会談を実現することができるだろう」と語った。
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