14日に制裁対象を発表した韓国政府は「北朝鮮の前例のない挑発に強く対応する意思を示すもの」と説明した。また、「独自制裁を進めてきた日本や米国など、友好国との連携強化にも寄与するものだ」と意義を強調した。
今回、制裁対象となった機関は、北朝鮮の核・ミサイル開発に深く関与した北朝鮮ロケット工業部、原油工業局など。制裁対象に指定されると、韓国政府の事前許可なしには韓国との外国為替取引などができなくなる。また、制裁対象の個人15人は、ヨンボン貿易総会社や、核・ミサイル開発を担ってきたとされる「第2自然科学院」に所属。ヨンボン社、自然科学院とも国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁対象に指定されている。15人はミサイル関連物質や技術、軍需物質の北朝鮮への搬入、大量破壊兵器関連物質の調達などに関与したとされる。違反した場合は、懲役または罰金が科せられる。
今回、韓国政府が指定した対象は、米国の独自制裁リストに既に含まれている。
韓国政府による北朝鮮への追加制裁は、2017年12月以来、5年ぶり。韓国政府は2015年~2017年にかけて5回にわたり、核開発に関与した北朝鮮の89の機関と個人109人を独自制裁の対象に指定した。ただ、その後は南北、米朝首脳会談の実現で対話ムードに転じたこともあり、追加指定は行われていなかった。
今回の制裁について、韓国紙の中央日報は「実効性よりも象徴の意味合いが大きいとの見方が出ている」と伝えた。北朝鮮は現在、貿易をほぼ全面的に中国に依存し、韓国との貿易は2010年以降、中断している。南北間の取引がない状況での制裁は実効性に乏しいとみられるからだ。今回の制裁は、北朝鮮への圧力路線を取る米国や日本、オーストラリアなどと足並みをそろえる姿勢を重視した措置だとみられ、外交部(外務省に相当)は「韓国政府がこのような制裁措置を行うことを国内外に知らせることが何よりも重要だ」と強調した。
また、中央日報は「この日の制裁は、北朝鮮に対する韓米の本格的な『資金源の遮断』作戦の始まりとの見方も出ている」と伝えた。同紙は今後、最も可能性のある追加制裁として、北朝鮮の新たな外貨稼ぎ手段となっている暗号資産のハッキングに対する制裁を挙げた。アサン政策研究院のコ・ミョンヒョン研究員は同紙の取材に「北が取引所や匿名デジタルウォレットに隠してきた暗号資産の取引遮断は十分に可能だ」と指摘。「今回の独自制裁は今後、北が7回目の核実験など重大な挑発をした場合、韓米がはるかに強力な措置を取るという事前警告の意味合いがある」と分析した。
一方、韓国が対北独自制裁に踏み切ったことに関し、林芳正外相は14日、「核・ミサイル問題への解決に向けた韓国の立場を支持している」と述べた。韓国外交部によると、日本は現在、北朝鮮の90ほどの個人・団体に制裁を科している。日本政府による今後の追加制裁の可能性について林外相は「何が最も効果的かという観点から不断に検討してきている。引き続き検討していきたい」と語った。
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